『二重らせん』

すき間時間に読み進めていた中川一徳『二重らせん』をやっと読んだ。前著『メディアの支配者』を引き継ぐものでめちゃくちゃ面白いテーマで詳細な記述は相変わらずすごいけど,今回は(たぶん前回よりも)知らない人名がいっぱい出てくるのですき間で読むの…

移民受け入れと社会的統合のリアリティ

旧い友人でもある是川夕さんの『移民受け入れと社会的統合のリアリティー現代日本における移民の階層的地位と社会学的課題』勁草書房,を読みました。すごく面白い本で感想を書きたいなあと思ってるうちに本人がシノドスで解題を書いてしまいましたので,詳…

東南アジアにおける地方ガバナンスの計量分析

晃洋書房から『東南アジアにおける地方ガバナンスの計量分析-タイ,フィリピン,インドネシアの地方エリートサーベイから』という本が出版されました。この中で,私も京都大学の岡本正明先生と共著で「インドネシア地方自治体における政治的リーダーシップ…

オーラル・ヒストリーに何ができるか-作り方から使い方まで

宣伝ですが,御厨貴編『オーラル・ヒストリーに何ができるか-作り方から使い方まで』が岩波書店から出版されました。私はこの中で「「行革官僚」の成功と挫折」という短い文章を寄稿しています。大学院生の時に参加した田中一昭氏のオーラル・ヒストリー以…

『社会科学と因果分析』メモ

佐藤俊樹先生の『社会科学と因果分析』を読んだ。ところどころ昔を思いつつクスっとしてしまうところがあったが,概念の歴史をたどるところとか慣れてなくて難しかったので,全体的にはクスっとするどころではなかった…。因果推論の話を知っていれば5章はわ…

中央銀行-セントラルバンカーの経験した39年

年末年始の多くの読書案内で好評価がなされていた白川方明『中央銀行-セントラルバンカーの経験した39年』を読んだ。参考文献入れると750頁を超えるまさに大著で,中身も非常に充実しており勉強になる(読むの時間かかった…)。中央銀行制度はもちろん,政…

新築がお好きですか?日本における住宅と政治

このたびミネルヴァ書房から『新築がお好きですか? 日本における住宅と政治』という本を上梓しました。何か研究書っぽくない変なタイトルですが*1,英語タイトルも同時に考えていて,そちらの方はNeophilia? Housing and Politics in Japan ということにな…

分裂と統合の日本政治

このたび千倉書房から『分裂と統合の日本政治』を上梓しました。『地方政府の民主主義』以来二冊目となる研究書ということになります。実証研究の部分である2章から7章までは,主に大阪市立大学に在籍していたときに書いたもので,それをまとめ直したものに…

社会が現れるとき

宣伝ですが,東京大学出版会から出版された『社会が現れるとき』という本に,「誰が自治体再編を決めるのか-「平成の大合併」における住民投票の再検討」という論文を寄稿しました。本書は,東京大学大学院総合文化研究科で博士課程の指導教員であった山本…

災害に立ち向かう自治体間連携−東日本大震災にみる協力的ガバナンスの実態

大西裕先生が編集された本が発売になります。ひょうご震災21世紀記念機構で実施された科学研究費助成事業の成果となっています。私は,大阪大学大学院の小林悠太さんと共著で「災害対応をめぐる行政組織の編成―内閣府と兵庫県の人事データから」という章を寄…

『公共政策』

本日付だと思うのですが,分担執筆しました『公共政策』の教科書が刊行されました。編著者である御厨貴先生のほか,片山善博先生・増田寛也先生というお二人の知事・総務大臣経験者に加えて,手塚洋輔さんと私で書いてます。この教科書を使った放送大学の「…

二つの政権交代

竹中治堅先生が編者としてまとめた『二つの政権交代』が出版されました。私は,「子育て支援政策」について書いています。本書全体としては,民主党政権から自民党政権(第二次安倍政権)への連続性が強いということがメッセージとなっていると思いますが,…

『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』

紹介を読んですぐにKindleで買いました。非常に勉強になったし,何より読んでいて面白いと思えるところが優れた本だと思います。題名には煽りがあるし,力み過ぎてるところもあると思うし,また内容についても鈴木先生じゃない人が見たらそんなにいいもんじ…

政治学の第一歩

『政治学の第一歩』という教科書を,大阪市立大学の稗田健志さんと神戸大学の多湖淳さんのお二人との共著で出版しました。個々の意思決定主体の選択(方法論的個人主義)とその戦略的相互作用に注目して,マンション管理組合から国際制度まで,利益の調整と…

憲法判例からみる日本

原本を見てないのでわからないのですが,寄稿させていただいた『憲法判例からみる日本』が日本評論社から出版されていると思います。もともと慶應義塾大学の清水唯一朗先生にお声がけいただいて,なんだかよくわからないままに慶応大学でお話したものをベー…

大震災復興過程の政策比較分析

御厨貴先生の編著(五百旗頭真先生監修)で『大震災復興過程の政策比較分析』という書籍が出版されることになりました。これは,五百旗頭真先生を研究代表者とした科学研究費補助金「関東、阪神・淡路、東日本の三大震災の復旧・復興過程に関する政治学的比…

戦前の「地方利益」

前田さんの『全国政治の始動』に触発されて,松沢さんの『明治地方自治体制の起源』を改めて読んでみた。やはり両著はつながっているところは大きいし,合わせて考えてみたい。まじめに両著を追っていくほど時間がないので気になったことを備忘として。 「地…

『指紋と近代』

朝日新聞の報道によると,りそな銀行が印鑑の取り扱いをやめて,生体認証も含めた他の方法による本人確認に移行していくという。 りそなホールディングスは3年後をめどに、住宅ローンや口座開設などの手続きで印鑑を押すことを原則として取りやめる。大手行…

排除と抵抗の郊外

4月14日以降に発生した熊本地方の地震は本当に深刻な状況のようで,被害にあわれている方が不安な状態から少しでも脱せられることを願うとともに,支援に当たられている方のご無事を祈っています。このようにかなり規模の大きい揺れが連続して,建物へのダメ…

民主主義の条件

宣伝ですが、『民主主義の条件』というタイトルで新著を出版することになりました。以前に東洋経済で連載させていただいた「政治は嫌いと言う前に」を大幅に加筆修正したものです。それぞれある程度は残っていますが、分解したりしながら作ったので、ほとん…

介護市場の経済学

名古屋大学の角谷快彦先生による著書。もとはシドニー大学の博士論文だったということ。政治学では博士論文の出版は最近ふつうになってきたけれども,経済学だと査読論文数本をもって博士論文にすることが多いので,歴史系以外だと博士論文を著書として読む…

縮小都市の政治学

加茂利男・徳久恭子両先生を編者として,『縮小都市の政治学』という本を出版することになりました。これは,2011年度〜2013年度に加茂利男先生を研究代表者として行われた科学研究費補助金のプロジェクト「縮小都市における政治空間再構築に関する国際比較…

『応用政治哲学−方法論の探求』

関西大学の松元先生のご著書。これは非常に勉強になった,というか,ふだん実証分析に携わる研究者としては,ぜひこういう本を読みたいと思っていた。はじめのほう,「科学」との対比で「哲学」の論証の方法について考えているところとか非常に参考になるし…

今年の○冊(2015年)

もう年末ということになりました。この数年続けている博士論文をもとにした著書の紹介の季節ということで。もともとは2010年に日本政治関連の博論出版が相次いだのを見てそれを紹介しようと思って始めたのですが,当時と比べると最近は現代日本政治関係の博…

戦国大名論−暴力と法と権力

実は副題に誘われて購入したのだが,非常に面白かった。歴史家である著者が,戦国大名の形成について論じているのだが,僕がイメージしているような「歴史学」とはちょっと違っていて,まさに「政治学」の文献と言ってよいのではないかと。著者によれば,戦…

民主主義の本質と価値

日本政治学会で報告と討論。どちらもなんというかきっちりとした専門のところではなく,「門前の小僧習わぬ経を読む」感が強かったように思うが,なんとか最低限のお役目は果たせたということで。で,討論者としてのお仕事のために読んだのが,ケルゼン『民…

現代日本における都市メカニズム

大阪大学の人間科学研究科での博士論文をもとにした著書。非常に筋がクリアなので某学会に向かう電車やスキマ時間(!?)などで一気に読めてとても勉強になった。主張は極めて明確で、日本でも繰り返し語られてきた「都市=つながりの失われた場所」という…

投資社会の勃興

オビや冒頭を読んで、自分の研究にもいろいろ示唆があるんじゃないかと思って読んでみた。非常に面白かったし勉強になったと思う。ただもうちょっと公債のしくみとか具体的な説明があった方が読みやすかったような気がしたが(とはいえ今でも十分長いので、…

建築と権力のダイナミズム

分担執筆しました『建築と権力のダイナミズム』(御厨貴・井上章一編、岩波書店)が出版されました。私は「庁舎と政治−都市の中心をめぐる競合と協調」(第5章)を担当しています。政治と建築というテーマは、日本ではそれこそ御厨先生が意識的に分析をはじ…

デモクラシーと民族問題

立教大学の中井先生のご著書。博士論文をもとにしたものということですが、これはすごいですね。先行研究を整理したうえでの理論的展開、数理的分析、計量分析を行って、さらにラトヴィア・エストニアという非英語圏(ロシア語+現地語?)を対象とした事例…