研究

明治の政党論

9月9日に行われた大阪維新の会の「公開討論会」というやつは、まあその各論の内容は脈絡ない話が飛び交っていただけのような気がするが、ああいう会自体が行われたことに大きな意味があるということだろう。「地方政党」であった大阪維新の会という存在に対…

合区と分区

少し間が開いてしまったが、8月1日の公募区長の就任がらみで出てきた興味深い案件として、「大阪都」に向けた合区問題、あるいは行政区の再編問題というものがある。そもそも区長就任の記者会見は、読売新聞の記事でわりと丁寧に書かれているが、公募区長の…

政党化?

この数日の大阪の地方政治は、公募区長の就任のような大きな動きとともに、なかなか興味深い論点がいくつか出ていたのではないかと思う。いくつかあるが、まずは大阪維新の会が「政党化」を目指すという話。毎日新聞の記事では、かなり細かいところまでフォ…

羽曳野市長選挙/河内長野市長選挙

この二週間で大阪府ではふたつの市長選挙が行われたが、これは今後の大阪府政を考える上で興味深い選挙だったといえるのではないか。 まず、羽曳野市長選挙については、維新の会、首長選初黒星 大阪・羽曳野市長選、現職3選と割と大きく報じられているよう…

地方政府の民主主義

このたび,初めての単著を出版させていただくことになりました。『地方政府の民主主義』という大仰なタイトルで,中身がタイトルについていっているのかは,読者の皆様のご高評にお任せしたいと思いますが,タイトルを思いついたときには,自分では20代のと…

「改革」というメタ政策

かなり旧聞に属するところだけども,茨木市長選挙についての記事。 茨木市長選、維新の会府議らが候補者公募 4月1日告示、8日投開票の大阪府茨木市長選で、候補者を擁立するとしていた地域政党・大阪維新の会(代表=橋下徹・大阪市長)の地元府議とみん…

今年の◯冊(2011年)

昨年,一部でちょっと好評を頂いた(ような気がする)ので,今年もやってみようかと思います。去年に続いて今年も,出版不況と言われつつも博士論文をもとにした著書というのは出版が続いています。主にそういった単著を,そしてあるいは初の単著というよう…

ダブル選挙についての3つの解釈

ダブル選挙のあとに,ちょっと研究者の間でFacebookで盛り上がったネタについて。橋下徹氏が明日から市長に就任される中で,「どのような支持があったのか」を考えることは,今後の市政を考えるにあたっても重要なところなのかな,と。 3つの解釈のうちひと…

「大阪都構想」が大阪の「地方政治」を超えるか

大阪府知事選挙・大阪市長選挙は,まあ事前にある程度予想されていたとおり,大阪維新の会がともに当選者を出すことになった。選挙については,何が争点なのかというところから始まって,橋下氏の政治手法について色々と議論もあり,考えさせられるところは…

都制・特別市制−リバイバル

備忘のためですが,以下は大阪府地方自治研究会の名前で出された『都制か特別市制かの問題』という冊子に記載された,1950年の大阪都制論。戦前から続く大阪市による特別市制の導入という主張に対する反論として用意されたものらしい。しかし,もうびっくり…

体制維新

前回のエントリは今までだらだらとブログを書いてきた中では圧倒的なアクセスを頂きました。はてなってブックマークによって読まれてる記事にポジティブ・フィードバックがかかるしくみになってるんですね。今回は前回の補足のような話。まあセンシティブな…

大阪都構想のふたつの哲学

大阪都構想については,どちらかというと批判的な観点から,さまざまな検証がされてきた。正面から「都構想賛成」みたいな話をしているのは,上山信一氏の『大阪維新』くらいで,残りの本はほとんど全部批判というか。ただ,そうは言っても,反対派の急先鋒…

ダブル選世論調査

11月27日に行われることは決まった大阪府知事・大阪市長の選挙ですが,ボチボチ世論調査の結果が上がって来ました.今日は朝日と読売の結果が出ていましたが,なかなか興味深いところ.そもそもこの選挙自体,橋下・平松両氏のこれまでの成果を回顧的retrosp…

財政調整制度下の地方財政

西川雅史先生の新著。やっと時間がとれたので,まとめて読んでみた。基本的にこれまでに書かれてきた論文を再構成して本にしたという感じで,保険料/保険税の選択とか以前に興味深く読んだものをもう一度読み直すことができた。 内容は,マクロの地方財政制…

民主党政権への伏流

政治家だけではなく,いわば「裏方」として初期の民主党に至る道筋をつけてきた人たちを追っているということで,読むまでに知らなかった人たちの話も多い.断片的に読んでいたので,読み終わるまでにえらく時間がかかってしまったが,これは非常に面白かっ…

「フクシマ」論

というわけで,「フクシマ」論について。他のところの評価でも出ているところだが,歴史や地元の様子をしつこく書いてる3章・4章が読ませるし,非常に興味深かった。逆に言うと,5章・6章がやや残念というか,微妙な一般化っぽい議論が乱暴な感じがする。地…

長の兼職

『「フクシマ」論』を興味深く読んでいるのだが(この本についてはまた機会があれば別に書きたい),その中でちょっと気になる一節が出てきて,思わず調べてしまった。 それは,この混乱の背景に,辞職した初代知事である木幡が,当時兼職が禁止されていなか…

長の任期

大阪維新の会の政治資金パーティでの,橋下知事の「今の日本の政治で一番重要なのは独裁」みたいな発言が物議を醸しているけれども,最近はどうも知事が激しいことを言う→マスコミが喜ぶ→学者・評論家が批判する(煽る)といったようなサイクルができてる感…

政府与党一元化

『ゼミナール現代日本政治』,というか『政権交代の600日』を読んでいたら,ここ数年の微妙な疑問に答えが書いてあったので。ちょっと長いですが,以下125頁から引用。ゼミナール 現代日本政治作者: 佐々木毅,清水真人出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発…

失敗の本質−メモ

ご多分にもれず,一年生のゼミで『失敗の本質』を読んでるわけですが,久しぶりに読み返すとやはりふつうに面白い。失敗例だけから教訓を引き出すってどないやねん,と思ったりもするが,失敗から帰納的に一般論を形成する技量というか,解釈の力は却って引…

首長たちの革命

何となく本屋で目にして,著者の前著*1が興味深かったこともあり,『首長たちの革命』を読んでみた。この本は,主に河村たかし,竹原信一という二人の地方自治を賑わす市長に焦点を当て,関係者へのインタビューをもとに人物像を描き出すというものになって…

統一地方選挙・後半戦

ざっくりと思いついたこと,というかTwitterに書いたことのまとめだが。 市議選については,これだけ有権者と候補者個人が離れつつあって,しかも事前運動や選挙運動の規制で候補者個人からアピールすることが難しい中では,もはや50人から40人を選ぶ,みた…

統一地方選挙雑感

考えるべきことはいろいろあるが,とりあえず終わった直後に感じたことをいくつか。 大阪の選挙については,橋下知事が率いる大阪維新の会が府議選で過半数を取り,市議選で33議席と躍進した。開票直前にいくつか否定的な情報を聞いてしまったので少し混乱し…

名古屋市議会議員選挙

震災のさなか実施された名古屋市議会議員選挙は,事前に予想されたように,河村たかし市長率いる「減税日本」の圧勝に終わり,いわゆる既成政党は大敗を喫することになった。毎日新聞の記事によれば,減税日本は全体の34.5%の得票を獲得し,民主党が18%(…

地震と地方選挙

3月11日に発生した東北地方を中心とする未曾有の大災害に被災された方々には心からのお見舞いを申し上げたいと思います。亡くなった方にご冥福を祈るとともに,不明になっている方の安全が判明すること,そして避難されている方々の状況が改善することをなに…

大阪都構想のアート

統一地方選挙前半戦まで残り一ヶ月ほどとなり,地方議会に加えて首長の候補もだんだんと決まってきた。このブログでもたびたび登場してきた地方分権改革推進委員会の露木順一委員が強い意欲という報道も出ていたが,候補者が決まっていないところもあと2週間…

ストーリーとしての競争戦略

専門書がベストセラーとして話題になっている本。最近体調を崩してどうも頭が動かないので,療養がてら読んでみたのだけども,これはたしかに面白かった。だいたいはじめのところで,研究者が実務家に話をする意義,というのが共感できる。本書の場合には,…

移行について

最近,天川晃先生のこれまでの論文をまとめて読んでみたり,牧原先生の時評を読んだりして,強く刺激を受けたのだが,ここのところの特に政治学・行政学の研究者が考えるべき問題として,移行の問題というのが重要なのではないかという気がしてきた。まあそ…

トリプル選挙の論点

2月6日に愛知県知事選挙・名古屋市長選挙・名古屋市議会の解散投票の,いわゆるトリプル選挙が実施され,既に周知のとおりに,それぞれ大村秀章候補・河村たかし候補・賛成,が圧倒的な票を獲得することになった。選挙結果の影響等についてはもういろいろと…

橋下知事・世論調査(続)

先週エントリを書いた,世論調査については,朝日新聞のものも出された。支持率の聞き方は基本的に読売と同じような感じだが,橋下知事を「支持する」が71%で「支持しない」が15%,「その他・答えない」は残りで14%程度とのこと。読売と比べると,不支持…