第三回

まあ一回きりで終わるのもかっこ悪いだろう,ということも含めて二回目です。
今回の会議は,地方分権推進委員会の西尾勝委員と,地方分権改革推進会議の水口弘一議長代理が出席し,これまでの反省点や,新しい推進委員会へのアドバイス,みたいな話をされていました。最後に傍聴記者が「成功に終わったとされる事例と分裂した事例を持ってきて…」という趣旨のことを言っていますように,この二つの会議は,業界(?)ではしばしば成功事例と失敗事例として取り扱われています。なぜ前者で成功し,なぜ後者で分裂・失敗したのかということは様々な論説があって実は僕も後者を書いてたりするわけですが,まあいろんな仮説があったと。しかし,今回の会議で意見陳述をする二人のリーダーの姿を見ると,二つの会議を並べてみんながちょっと思ってても「それは書けないよなぁ」と少しは思ったであろう仮説がやっぱり有力なんじゃないか,という気がします。ていうか,水口氏が炸裂してるのが個人的にはかなり興味深いというか。猪瀬委員が「いやいや…」ってツッコミを入れるところまで自分の話(ユーロ市場ネタ)をしていたのをみると,映像が流れるのは怖いなぁ,と思って仕方ないですねぇ。
この件に関してなかなか面白かったのは,次の一節。

委員長:「我々の委員会もね,そういうことならないようにこうやっていうわけですけど,そういうときに過去のいろいろな障害とかそういうことを参考にしていく必要があると思うんです」
参考人:「そういうときはおっしゃっていただければ,僕も門外不出にしている記憶がありますから」

って何が門外不出なんだろう…。ちなみに,この後の会議は完全にこの言葉に支配されてました(苦笑)。
まあネタはネタとして。今回の話で一番面白かったのは,西尾先生が指摘した公物管理の問題ですかね。地方分権を考えるときに,国有財産をどうするか,というのは確かに大きな問題です。それを「地方の財産にする」というジャンプができるところがあればそれはそれでいいでしょうが,河川とかについては必ずしもそうもいかない。少なくともそれは連邦制みたいな憲法マターになってくるところがあると思うし。西尾先生が指摘した,「国有」財産を地方が管理するのか(法定受託),それとも財産は財産として,公物の「機能」を地方が管理するのか(自治),という考え方の違いはこれまでぜんぜん考えたことがなかったので,かなり啓蒙されたかなぁ,というところです。
もうひとつはかなり本質的な部分。井伊先生が西尾先生に「ナショナル・ミニマム」と「補完性の原理」の関係について質問したところで,質問,西尾先生のコメントとしては「ナショナル・ミニマムの範囲を狭めることが望ましく,国保など社会保障についてはむしろ地方から国へ移管する部分もありうるという趣旨の回答をする。それに丹羽委員長が賛意を示し,記者がツッコむという場面があって,ここは今後の大きなテーマのひとつになりそう。これは上手くいけばいいんですけどねぇ…。