出先機関のガバナンス

昨日のエントリに追加のような感じで。時事通信の記事が,「分権化された総合事務局」のイメージを教えてくれています。

◎首長らとの協議の場設置検討へ=国の出先機関引き継ぐ組織に−分権委
政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は、国の出先機関見直し後の組織として想定している「総合的な出先機関」に、国と首長ら地元代表者との協議の場を設ける方向で検討する方針だ。国に事務権限を残すことによって国と地方の二重行政といった新たな弊害が生じないよう、国が進める各施策に地元自治体の意見を反映させたり、外部からの監視機能を働かせたりできる枠組みについて、法制化も視野に議論を進める。
(略)
国の出先機関が行う施策は、住民らによる監視の目が届きにくいために、行政の無駄を生みやすいとの課題がある。そのため、分権委はそうした弊害の是正策として、施策の妥当性などについて国と地元代表者が協議する場を設ける方向で検討する。
地元代表者には各地域の知事会や市長会、議長会などの代表者を想定。外部による監視機能が担保されるよう、協議の場設置や地元の意向を国が尊重する規定などの法制化も論点の一つとして議論される見通しだ。
7月28日 時事通信・官庁速報

この「検討」の内容,すなわち「地元代表者」が入る枠組みについては,分権委では特に議論されていなかったので,分権委のあとの事務局ブリーフィングあるいは個別の委員・事務局からの情報ということなのでしょう。ウェブで会議を長めているだけではこういう情報が入らないので,具体的なイメージを抱かせてくれるこういう報道は貴重なのではないかと。
内容についてもわりと妥当な感じではないかと。知事や市町村長・議会の議長などが代表者として出先機関を監視するのは,イギリスのRegional Development Agency(RDA)のRegional Chamberのイメージに近いか。RDAの場合は経済団体の代表や市民団体の代表も入ってBoardみたいなものをつくっているわけで,あれは一定のモデルになるかもしれません。ただ,広域の経済政策に特化しているRDAと,真水も打てる?出先機関とを直接比較するのは慎重であるべきだとも思われますが。イギリスの場合は,政府はRDAを発展的に「地方政府」とするためにRegional Chamberを公選のRegional Assemblyにしていこうと引っ張ったものの,現実にはなかなか地方の方がついてこないで,公選のRegional Assemblyをつくるという住民投票も否決されていると聞いています。これは結構単一国家における分権という観点からは興味深い事例だと思われるわけですが,日本の出先機関の場合はどのあたりの着地点を目指すべきなんでしょうかねぇ(規範的なことはよくわかりませんが)。