いただきもの+

国立教育政策研究所の青木栄一さんから頂きました。いつもありがとうございます。こういう成果を見るにつけて,政治学行政学と教育行政の分野っていうのがやってることは似てるんだなぁ,と思います。よく縦割りの行政学とかいうわけですが,「教育行政学」は教員養成課程の中に入ってくるので実は「行政学」を講義している人よりも多いだろうという話もあるわけで。やっぱり相互交流っていうのが必要なのではないかと思ったりします。いまのところ,どのくらい「政治学行政学」の教育を受けた人たちが「教育行政学」の方に参入しているのかはよくわからないところですが。
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あとは財政学会の年報も来ました。林先生が連続で書かれているのが目を引きましたw。政治学のひともほぼ同じようなテーマを扱っている論文としては,宮下量久・中澤克佳両先生の「市町村の合意形成コストの実証分析−合併協議会から合併成立過程の検証」でしょうか。この論文では,法定協議会のうちで合併/非合併の原因を説明しようとする,割とよく見るタイプの分析と,合併協議会の設立から実際の合併に至るまでの日数をかかったコストとして捉えて,その「コスト」を説明するものがあります。合併までにかかった期間をコストとして捉えるのは非常に興味深いなぁ,と。前者の方の分析もなかなか興味深くて,法定協議会を作ってる自治体内での格差*1が効いているんだということ。政治学の方では年報行政研究で城戸英樹・中村悦大[2008]「市町村合併の環境的要因と戦略的要因」『年報行政研究』43: 112-130.があって,リーダーになるような自治体があれば合併しやすい(これは宮下・中澤でも効いている)とか住民発議のときは行き詰まりやすい,という結果がでるものの,モデルの立て方(個別自治体を分析単位にするか法定協議会を分析単位にするか)で話が変わって解釈しにくいという結果が*2。ちなみに城戸・中村[2008]では,その結果を踏まえて,「個別自治体が隣接自治体を含む合併に参加したかどうか」を分析対象とすることで,人口・財政力といった自分の置かれた立場と合併先との関係(リーダーの存在とか財政力格差とか)をともに計算して合併の意思決定を行ったという分析をしてます。これはいかにも政治学という分析ですが,財政学の方だとこういう研究はどのように扱われるのだろうかと。
しかしこの手の研究はデータが多くて本当に大変そう…。最近自分自身もやや合併に関心を持ちだしたこともあるのですが,どこかでまとめてデータが公開されているといいのになぁ,と都合のいいことを思ったりするわけですが。

少子高齢化社会の財政システム (財政研究 第 5巻)

少子高齢化社会の財政システム (財政研究 第 5巻)

年報行政研究43 分権改革の新展開

年報行政研究43 分権改革の新展開

*1:『市町村税課税状況等の調』から課税対象所得階層別の納税義務者と所得総額を引っ張って,協議会ごとに計算してジニ係数を算出する,という非常にご苦労なことをされています。これは大変そう。

*2:ただ,なんで先に出てた城戸・中村[2008]の方が標本数が多いのだろうか。よくわかんないけど,一部離脱とかの扱いが違うのかな。