選挙とガバナンスなど

最近どうもブログが月記化していて、とりあえずひと月に一回くらいは書こうと思いつつもうまくいかないです。特に前回のエントリみたいに非常に長いものを書くと、次に何を書くか考えてしまってなかなか進まない*1。というわけで、書こう書こうと思っていたいただきものの御礼を。
年末年始にかけて、浅羽祐樹先生から、ご共著『徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理』をいただいておりました。お三方の座談会とそれぞれ個人の章があって、正直良くわかっていない韓国の話についていくつか目から鱗が落ちました(たぶん)。外交問題というのは苦手なのですが、それよりも日本・韓国・そして国際社会それぞれでの「法の支配」という概念について考えるうえで非常に参考になりました。「法の支配」の問題があるからこそ、「従軍慰安婦」が女性の人権という現代的な観点で問題にされうるということなのでしょう。

徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理 (中公新書ラクレ)

徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理 (中公新書ラクレ)

また、中北浩爾先生から、『現代日本の政党デモクラシー』をご恵投頂きました。多数制と比例制を競争デモクラシー・参加デモクラシーという観点から説明した上で、競争デモクラシーに基づく小選挙区制が導入された経緯、マニフェスト選挙による強化といった歴史を説明された上で、その隘路をとともにもうひとつの参加デモクラシーの可能性を論じるものです。多数制と比例制についてはまさに次回の選挙制度改革で明示的に議論されるべき点であり、その議論を考えるひとつの前提となるのかと思います。
現代日本の政党デモクラシー (岩波新書)

現代日本の政党デモクラシー (岩波新書)

同僚の野田昌吾先生からは翻訳された『ドイツ社会保障の危機: 再統一の代償』をいただきました。本当に大部な本で、翻訳は本当に大変だったことかと…。しかも野田先生は研究科長の激務をされながらも学会での研究報告を引き受けられたりもして本当に頭が下がります。外国の社会保障制度についてはどうしてもモデル的にとらえてわかったつもりになりがちなので、少しずつ読みながら勉強したいところです。
ドイツ社会保障の危機―再統一の代償 (MINERVA人文・社会科学叢書)

ドイツ社会保障の危機―再統一の代償 (MINERVA人文・社会科学叢書)

曽我謙悟先生からは『行政学』をいただきました。これはまさに新たなスタンダードとなることは間違いないでしょう。従来の行政学はどちらかと言えば政治の話は捨象して、行政組織というものがいかに作動するかということを議論するものだったと思われます。個別のプログラムについてはかなり詳細に議論がされるわけですが、全体としてどういうものかはわかりづらい。だからこそ冒頭で政治学行政法学・経営学との距離を論じられることもあるのではないかと。しかし本書では、選挙によるガバナンスを前提としたうえで、本人たる国民/住民がいかに行政を統制するかという観点から「行政学」が議論されているように思います。いわば、「われわれ」とは違う「彼ら」を理解するための行政学ではなくて、「われわれ」のうちにある行政という組織を理解する行政学、ということなのではないかと思います。
行政学 (有斐閣アルマ)

行政学 (有斐閣アルマ)

最後に大西裕先生から、『選挙管理の政治学』をいただきました。選挙管理行政というのは日本ではなかなか取り上げられることのない分野ですが、本書では国際比較を踏まえてその内容について議論しています。韓国が選挙管理において非常に進んでいるということで、それを準拠点に特に日本を分析するものになっていますが、現在の日本でも、ネット選挙が解禁され、電子投票の問題も出てくることを考えれば、まさに時宜にかなった本だと思います。選挙管理委員会が独立した組織として、区割りや選挙違反の摘発を行ったり、住民登録に関わったりするようなあり方も十分にありえるわけで、今後の日本の選挙を考える上で非常に重要な示唆があると思われます。

*1:なお、前回のエントリは、はじめてブログを見たということで取材を受けましたw結局ボツになったみたいでしたけど。