山口県立大学の浅羽祐樹先生に、『星座としての国際文化学』をいただきました。以前にも学部での教育の成果をまとめたものを頂きましたが、このように学部教育の成果を定期的にまとめられるのはすごいですね。ていうか、最近[いただきもの]で毎回浅羽先生からのものが入っているような…いつも本当にありがとうございます。なお、浅羽先生からは外務省の田村優輝さんと共著(というか対談)での「「航行の自由」と陸での「船」造り」『山口県立大学学術情報』も一緒にいただきました。田村さんにも一度お会いしたことがあるのですが、お二人が山口県立大学の学生さんの前で(特有の喩えも交えつつ)喋ってる内容は、いろいろと気付かされるところがあって興味深いものです。
さらに、その上にPresidents, Assemblies and Policy-Making in Asiaまで頂いてしまいました。こちらもありがとうございます。これは『アジアにおける大統領の比較政治学』の英訳版ということで、相対的に比較政治学の蓄積が薄い東アジア・東南アジア地域の大統領制について分析した研究です。こういう本が英語で出されるのは日本からの発信ということで良いですね。しかし浅羽さん、本当にたくさん仕事をされていて、知的な負債が溜まって大変です…。

星座としての国際文化学‐みつけて、つなぐ、学びのスタイル

星座としての国際文化学‐みつけて、つなぐ、学びのスタイル

Presidents, Assemblies and Policy-making in Asia

Presidents, Assemblies and Policy-making in Asia

首都大学東京の河野有理先生には『田口卯吉の夢』をいただきました。明治の政治思想は専門外ではあるのですが、現代的にも学ぶべき点は多く(例えばこちら)勉強になります。田口卯吉は、星亨と並んで個人的に非常に関心を持っている明治期の人物であったということもあり、興味深く読ませて頂きました。制度論者としての田口卯吉、というと歴史の方は何をいまさらと仰りそうですが、「政治」と「人民の心」の相互作用のような議論は、新制度論的な議論に通じるところもあるような感じもします。
田口卯吉の夢

田口卯吉の夢

名古屋大学田村哲樹先生からは『紛争と和解の政治学』をいただきました。田村先生は「熟議による「和解」の可能性」というタイトルで分断社会における和解という困難なテーマについて寄稿されています。なお本書は、駒場の国際関係論にいた人たちが多く参加されている編著で、個人的にも以前に一緒に勉強していた方々の消息をこういうかたちで知るのはなかなか励みになります。
紛争と和解の政治学

紛争と和解の政治学

同志社大学の飯田健先生からは、『計量政治分析』をいただきました。実際に出版された論文のデータを用いながら統計ソフトのRを通じたデータ分析の手法が紹介されています。かなり実践的な内容が多く含まれていて、計量政治に関心をもつ人が次のステージに進むときの手掛かりになる本ということになると思います。個人的にも最近は新しい計量分析の方法を学習する機会が減っていて、本書を用いて再度勉強しようと考えるところですが、これから大学院に入る方々ははじめからこういう本で勉強できると思うと本当に羨ましい限りですw
計量政治分析 (Rで学ぶデータサイエンス 14)

計量政治分析 (Rで学ぶデータサイエンス 14)

慶應義塾大学の清水唯一朗先生からは、『近代日本の官僚』をいただきました。維新官僚から政党政治が華やかな大正デモクラシー期までを中心に、大量の官僚の個人名を用いた「官僚史」が編まれています。ただ歴史を追うだけではなくて、清水先生の前著*1で議論されていたような政官関係の二つのモデルの説明が挟み込まれていて、それを思い出しながら読むと政治の側の動きに反応する官僚の生態が立体的に理解できるような気がします。官僚機構の変遷についてのきちんとした行政学的な分析を踏まえたものになっているということで、行政学へのインパクトも大きい本ではないでしょうか。

*1:清水唯一朗、2007『政党と官僚の近代』、藤原書店

政党と官僚の近代―日本における立憲統治構造の相克

政党と官僚の近代―日本における立憲統治構造の相克