参院選マニフェスト−地方分権

他の色々な方に習って、地方分権に絞って各政党のマニフェストを確認してみました。一応参議院議席順に並べています。
民主党

地域主権改革
●義務付け・枠付けの見直し、地方自治体への権限・財源移譲、一括交付金の復活、国の出先機関の原則廃止に取り組みます。

最後のほうで他の「改革」と並べて−かつ「政治改革」(定数削減)「行政改革」(仕分け)のあとに−短く書かれています。2009年総選挙のときは「一丁目一番地」とかいう話が出ていたのが偲ばれます。
自民党

地方分権改革
地方自治体の機能を強化し、地方分権を推進するとともに、道州制の導入を目指します。
●指定都市における特別区の設置を実現しました。さらに多様な大都市制度の導入を検討します。

民主党と同様に、最後のほうで、政治改革・行政改革の後に出てきます。作り方も相互参照してるんでしょうか。
道州制と「多様な大都市制度」だそうです。自民党が衆参両院で安定多数をとったら4年後には日本が道州制になるんでしょうか。それはよくわかりませんが、ちょっと興味深いのは、2012年に実現した例の大阪都構想の法律は、「指定都市における特別区の設置」だそうです*1。これとは別に「多様な大都市制度」を目指すそうです。政権党なんでやろうと思えばできるんでしょうけど、どんな多様性を考えているのか知りたいところです。
公明党

新しい「国のかたち」と行財政改革
中央集権的な国の統治機構のあり方を改めます。地域の自主決定により、地域特性を活かした経済発展をめざし、住民本位の行政サービスを提供できる「地域主権道州制」を導入します。
地域主権道州制の導入へ「道州制推進基本法」を制定

道州制推進基本法」を制定し、それに基づき内閣に道州制推進本部を設置(本部長=内閣総理大臣)します。

諮問機関として「道州制国民会議」を設置し、3年間かけて道州制移行に向けて国民的議論を行います。地方の意見を最大限取り入れ、中央集権的な日本の統治機構を改め、地域の活性化や行政サービスの充実につながる道州制の制度設計の構築に取り組みます。「道州制国民会議」の最終答申を受けた後、2年を目標に必要な法的措置を講じます。

わりと具体的ですね。やっぱり道州制になるようです。自民両党が道州制の導入をマニフェストに掲げているということは、「道州制推進基本法」とか「道州制国民会議」くらいはできそうです。しかし道州制って一体何なんでしょうか…道州制にしたら参議院の存在自体を根本的に見なおしたほうがいい気もしますけど、その辺りも議論しておいて欲しいところです。
みんなの党

地方と国
道州制

地域主権

  • 市町村・都道府県・国の三重行政の弊害を解消。道州制導入までの間、基礎自治体が主体となる事務については、広域行政の指導調整を一本化。基礎自治体・国のニ層式行政システムを導入する。
  • 安全保障や徴税等国に残る業務を除き、地方に残る国の出先機関廃止を推進する。
  • 国の直轄事業は段階的に縮小・廃止し、地方へと移管。地方の負担金は、まず、維持管理費負担金を廃止し、本体部分も直轄事業の地方移管に伴い廃止する。
  • 地域経済に直結した雇用労働に関する制度運用は、地方自治体に原則移管。第一歩として、ハローワークの地方移管を直ちに行う。
  • 地域主権改革の進め方については、地方自治体と国との協議(自治体からの提案権を含む)等の法的枠組みを設けて具体的に決定。国が首長代表者を選定して協議の場を設けるのではなく、地方の側が主体的に意見を述べられる場を設定する。

アジェンダのかなりうえのほうに出てきていて、しかも他の政党より細かい内容が書かれています。都道府県と出先機関を廃止して道州二一本化するという感じでしょうか。基礎自治体と道州の関係はいまいち見えませんが、それはこれから検討ということなのかな。国と地方の協議については、民主党時代に「国と地方の協議の場」ができたわけですが、これについてはどういう扱いになるんでしょうか。
ちょっと興味深いのは、みんなの党はこの地方分権改革をはじめ、統治機構改革をマニフェストのトップに持ってきてるんですよね。これは維新の会でもそういうところがありますけど、思い出すのは2009年の民主党で、あれはまさに統治機構の作り直しという(一般には)よくわからないものが押し出されていたわけです。民主党は政権での失敗を経て統治機構改革が後景に退きましたが、みんなの党はどうなるんでしょうか。
生活の党

【2、行財政・国会:地域が主役の社会へ転換する】
東日本大震災の復興の遅れに象徴されるように、中央が全てを決めて地方に押しつける中央集権体制は、国民の声に応えられなくなっている。中央政府の役割を外交、防衛、危機管理等に限定し、行政の権限と財源を地方に大胆に移し、増税に頼らずに財源を確保し「地域が主役の社会」を実現する。
1.中央集権から地方分権国家へ大転換
中央政府の役割を外交、防衛、司法、危機管理、治安維持、基幹的な社会資本整備、地球環境の保全その他国家の根幹にかかわる事務に限定する。
その他は地方自治体が行う制度に改革し、地域のことは地域でできる地域が主役の社会を実現する。これによって、国会議員も国家公務員も国家レベルの本来の仕事に専念できるようにする。
各省設置法は廃止し、閣議決定で中央省庁の組織改編を行えるような包括的な行政組織法を制定する。また、幹部公務員の政治的任用を導入する。
2.条例の上書き権の創設
地方公共団体の自主立法である条例で国の法律の特例を設けることができる制度(「条例の上書き権」)を創設する。
3.一括交付金交付でムダ一掃
国の補助金と政策経費は原則、一括交付金等地方が自由に使える財源として交付する。地域事情に即した事業を実現するとともに、補助金等に関わる経費を削減することにより、国全体の財政の健全化を図る。

道州制は謳ってませんがまあラディカルな話が書いてあります。これは『日本改造計画』依頼の議論って言うことなんですかね。しかし大胆に地方分権をして上書き権を創設し、一括交付金を交付というのはまさに民主党時代にうまくできなかったテーマです(民主党はいまも「一括交付金復活」を言ってますが)。生活の党では、1が憲法で2が行財政・国会、ということになってますから、まさに2009年の民主党でノリがいまのみんなの党とか維新の会に近い部分が生活の党に移ったということが言えるかもしれません(そういう意味では確かに「真・民主党」なのかも)。
共産党

すみません、長いですが敢えて掲載します
22、地方自治
地方財政の削減と道州制に反対し、住民の命とくらしを守る地方自治の発展をめざします
 長引く経済不況など国民のくらしが脅かされるもとで、住民にもっとも身近な地方自治体のはたす役割が増しています。いま国に求められているのは、地方自治体が、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)という本来の役割を担える財源を保障し、福祉・教育、地域振興、防災対策など現に進めている取り組みを一体に強めることです。
 しかし安倍自公政権は、地方財源を保障するどころか、不十分な財源措置をいっそう弱めようとするとともに、地方自治を破壊に導く道州制導入を、憲法改悪と一体に掲げています。日本共産党はこうした地方切り捨て政治を転換し、住民の命とくらしを守る地方自治の発展をめざします。
1.必要な財源を保障し、住民福祉の機関の役割を強めます
 いま地方自治体は、住民の命とくらしを守るため多くの課題に迫られています。
 貧弱な国の制度を補うために進めている社会保障制度の独自の拡充、自治体病院での医師・看護師の確保、雇用の維持・創出や中小・零細企業への支援など疲弊した地域経済の活性化対策、農林水産業の持続的発展などのとりくみは、どれも切実な課題です。東日本大震災からの復興では、被災者の生活となりわいの再建支援、公共施設や鉄道などの復旧が急がれます。南海トラフ巨大地震など大規模災害への防災対策の充実・強化も緊急課題です。
 ところが、地方にたいする国の財政措置は不十分と言わざるを得ません。
 小泉内閣時代の「三位一体の改革」による地方交付税の大幅削減によって地方自治体は深刻な財政難に直面し、「平成の大合併」に追いやられた自治体も少なくありません。この小泉「構造改革」路線は地方からの強い批判を受け、若干の地方財源の復元や、臨時財政対策的な交付金措置がとられる一方、高齢化などによる社会保障費の自然増などで増額が求められる地方財源総額は抑えられています。
 安倍自公政権は地方財源の抑制にさらに踏み込もうとしています。13年度予算では、地方公務員給与の大幅削減を前提とした地方交付税の削減をおこないました。さらに、来年度の財政運営指針=「骨太の方針」では、安倍首相の「地方行財政制度の見直し」指示をうけ、この間の臨時財政対策的な交付金措置の見直しをはじめ、「義務的経費の踏み込んだ見直し」や「地方財源の国と歩調を合わせた抑制」など、地方財源の抑制・削減の正式な方針化がねらわれています。
 こうしたいっそうの財源抑制・削減が行われれば、地方自治体が少子化高齢化などで増えつづける財政需要に十分対応できない事態に直面しかねません。
 日本共産党は、地方自治体が直面する課題に取り組む財源を保障し、地方のとりくみを全力で応援します。地方財政の重要な柱である地方交付税の復元・増額をはかり、地方交付税本来の財源保障と財政調整の両機能を回復・強化するとともに、国の財政責任を社会保障制度の充実の観点で拡充します。
 日本維新の会などが主張する地方交付税の廃止は、国の財源保障の責任を投げ捨て不十分な自治体相互間の財政調整制度にして、その財源を消費税大増税でまかなおうとするもので、サービス切捨てと大増税がふりかかるものであり反対します。
 国が、子ども医療費の現物助成を自治体がおこなうと交付金でペナルティを課す、介護保険料の減免に一般財源をつかうなと「指導」するなど、地方独自の取り組みにたいして行っている不当な妨害・介入に反対します。

2.道州制に反対し、地方自治の充実をはかります
 自公政権は、「三位一体の改革」と市町村合併のおしつけで地域の疲弊をまねいた自らの責任は棚に上げ、“国民の閉塞感を打開するためには、一層の地方分権が必要だ”などとして、「国と地方のあり方」を根底から変質させる策動に突きすすんでいます。それが「道州制」です。
 道州制とは、長年にわたって財界が求めてきたもので、国と地方をあわせた国家制度の大改編です。国の仕事を外交・軍事・通商・司法などに限定し、憲法にうたわれた社会保障や教育など国民の基本的な権利をまもる国の責任は投げ捨てるものです。いまの都道府県をなくし全国を十程度に区分けして「道」「州」をおき、いま約千七百ある市町村を再編し、将来的には三百程度の「基礎自治体」にしようというものです。
 こうした方向は「地域分権」などではなく地方自治の変質・破壊そのものです。自治体はいっそう住民から遠くなり、国から地方への財政支出の削減で、住民施策の水準の確保が危ぶまれます。財界は、広域行政をになう道州の一番の役割を大型開発など産業基盤の整備と位置づけ、財源を集中させることをもとめています。
 第2次安倍内閣のもとでこの道州制導入にむけた議論が活発化しています。「道州制基本法について早期の制定をめざす」とする安倍首相の発言をはじめ、日本経団連道州制推進「提言」の発表、橋下大阪市長など道州制推進首長らと日本経団連共催による「道州制推進フォーラム」の開催などが相次いでいます。
 安倍政権は、先の総選挙公約に道州制導入を盛り込んだ自民党公明党日本維新の会みんなの党を結集し、道州制推進基本法の制定を画策し、財界の要請に沿って2018年の道州制導入をめざしています。民主党道州制賛成の立場です。
 しかし、こうした動きにたいし、全国町村会道州制に反対する「書簡」をすべての国会議員に配付したのをはじめ、全国町村議会議長会は「道州制の導入には断固として反対」とする「緊急声明」を発表しました。全国知事会道州制推進で一致しておらず、全国市長会市町村合併を前提とすることに反対しています。
 福祉とくらし、経済、地方の今後にかかわる大きな問題であるにもかかわらず、国民的議論もないなかで、自治体関係者をはじめ少なくない反対を押し切っての道州制の推進は許されません。
 日本共産党は、地方自治を変質・破壊させる道州制に強く反対し、幅広い共同をひろげ、「道州制推進基本法」の国会提出、制定をやめさせるために全力をあげます。
 政令市を解体し、府市に大型開発のための財源を吸い上げ、道州制をめざす大都市制度改編(「都構想」)の具体化に反対します。
 市町村の大規模再編に反対し、住民自治が体現できる身近な行政運営を維持・強化します。合併してできた市や、政令市など規模が大きな自治体では、旧市町村や行政区の自治機能を強化するなど、地域の自治機能の回復・強化をはかります。
 保育所福祉施設の国の最低基準をなくし地方の条例にゆだねるという方向がすすめられ、都市部の一部自治体では保育の質の低下が現実のものとなっています。国が責任をもつべき基準を後退させず、子育て、介護、医療、教育などへの国の負担を充実させます。

とりあえず財源保障はするそうです。消費税大増税に反対していることは書いているものの、どこから財源を持ってくるのかわかりませんが。それから道州制に反対だということはわかります。しかし道州制は将来的に10程度の道州と300程度の基礎自治体にするということでこれはほんまかいなと思わざるを得ません。
まあ基本的には、分権反対と読むべきでしょう。それはそれで社会主義政党の見識というものだと思います。ただそうすると戦後の自民党政治をどう評価するかという問題に向き合う必要はあるわけで、1990年代以前の自民党政治に戻るべきだということでしょうか。「最も成功した社会主義国」に回帰するということを共産党が言うのはわからないでもないですが、ここのところの議論はちょっと聞きたいものです。
あと総じて書かなくてもいいことが延々と書いてあるような気がします。
みどりの風

5.国民一人ひとりを守る国・日本をめざします
現場発のあたりまえの行政改革
地方分権行政改革
行政の無責任体制を打破。現場に根ざした行政がもっとも効果的で効率的。中央を地域のために働く組織へ、地域が動きやすい行政をめざします。

最後に外交とか統治機構関係をまとめたものの中に入れられています。何がしたいのか具体的にはよくわかりませんが、細かい項目を見ると権限財源移譲と書いてありますのでそうなのかなと思います。しかし何をもって無責任なのかをはっきり言わないとただ罵倒しているだけというような気がしますが。
なおPDFなのですが、うまく右クリックでコピーできないもので、細かい項目を打ってません。「ネット選挙」でコピペで拡散することを考えたら、拡散しやすいようにつくるのが大事な気がしますがどうなんでしょう。
社民党

(長いですが消費者関係部分以外敢えて載せます)
9.分権・自治
○民主主義の学校である地方自治を保障している日本国憲法は、戦争遂行の国家総動員体制を支えた地方支配システムを否定し、平和と民主主義を根付かせることで戦争への道を防ぐものとなることを期待しています。しかし、自民党憲法改正草案は、地方自治の範囲の限定や地方自治体の協力義務の新設、受益者負担主義など、国策に協力する地方制度への再編を目指したものとなっています。地方自治を充実・発展させ、地域から民主主義を創っていきます。
○権限・財源を一体として地方へ移譲するなど、分権・自治を積極的に推進します。ただし、保育や介護、児童養護、障がい者福祉、男女共同参画、義務教育など、生存権や安全の確保、人間の尊厳や子どもの成長に深くかかわるサービスについては、国が最低基準を設けることを前提とするとともに、当事者・社会的弱者の声が反映されるようにします。
○「市民自治」を基本にすえた「地方自治基本法」を制定します。住民の意思を直接、自治体の選択に反映させるため、住民投票を制度化します。
道州制導入によって、道州間の格差に加え道州内格差の一層の拡大、周縁部となる農山漁村の疲弊や身近な行政の後退につながり、「選択と集中」の論理による「地域切り捨て」が懸念されます。憲法の規定する直接請求や、地方特別法に対する住民投票の意義が損なわれることも問題です。住民不在で、国民的論議も不十分であり、市民から遠くなる道州制を拙速に導入することには反対です。都道府県を広域的な自治体として機能強化するなど、現行二層制での分権・自治を進めるべきです。広域の行政課題に対しては、広域連合を活用します。
○市民に身近な基礎的自治体がその能力や地域の実情に応じて権限・事務を選択できるようにして、すべての基礎自治体が自律可能な都市制度の確立をめざします。政令指定都市制度について、分権・自治を進める観点から見直しを行い、住民がよりよい行政サービスを受けられるよう、それぞれの地域の実情に応じた、新たな大都市制度のあり方を検討します。大阪市をなくし分権に逆行する「大阪都構想」には反対です。
○国の地方出先機関の改革に当たっては、分権・自治を進める観点から、二重行政にならないよう、国と自治体の役割分担、事務・権限や財源、人員移管などのあり方を十分に検討しながら対応します。
○地域(市町村合併前の旧町村や小中学校区単位など)における市民(住民)参加のしくみを追求し、小さな自治(自治体内分権)を実現します。
○税財源の移譲を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築し、現在6対4となっている国税地方税の割合を当面5対5にします。将来的には、国と地方の新たな役割分担に応じた税の配分となるよう、地方税の配分割合をさらに引き上げます。地球温暖化対策にかかわる地方の役割を踏まえ、地方環境税を導入することを検討します。
地方交付税は地方固有の共有財源であり、法定率の引上げを含め、財源保障・財政調整機能を強化します。累増する臨時財政対策債について、そのあり方の全面的な見直しを行います。地方公務員給与の引き下げを要請する手段として一方的に行った地方交付税の削減には反対です。地方公務員給与に関する各自治体での労使交渉が尊重されるよう、必要な財源を確保します。
○法定化された「国と地方の協議の場」に各種分科会を設けるなど充実します。社会保障制度等の改革に当たっては、地域の現場に即した制度となるよう、地方の声を十分に反映させるようにします。「国と地方の協議の場」において、地方財政計画の策定や地方消費税への税源配分の検討、地方交付税の算定などについて、地方財政に自治体の意見を反映するようにします。
○国庫補助負担金については、国・自治体の役割分担に応じて必要な財源保障をしつつ、一般財源化や一括交付金化を進めます。公共事業等を中心とした一括交付金を維持・拡充するとともに、地方にとって使い勝手のよい制度となるよう、仕組み等必要な見直しを行います。社会保障や義務教育に係わる国庫補助負担金は、一括交付金の対象とはしません。地方の自由度が拡大しない単なる補助率カットや補助金削減は行いません。
○行革や財政難を理由に公務部門のリストラが進み、身分が不安定で劣悪な労働条件に置かれている「官製ワーキングプア」が大きな問題になっています。臨時・非常勤職員の法的位置づけの明確化や待遇改善を図るとともに、パート労働法、労働者契約法の適用除外となっている公務労働についても、同法を適用できるよう法制度を見直します。また、「短時間公務員制度」を導入するとともに、諸手当の支給を可能にする地方自治法改正など法整備や運用改善を進めます。
○それぞれの地域の特色をいかし、「生きる営み場」としてのいきいきとした地域を再生し、「創造的地域社会」をめざします。NPOや市民の力を地域再生にいかします。コミュニティ再生に取り組みます。「地産地消」、「地域通貨」、「福祉事業とワーカーズコレクティブ」、「コミュニティ・ビジネス」「リビング・ウェッジ(生活保障給)」、都市と農村をつなぐ施策など、地域再生の様々な自主的努力をバックアップします。
○「緑の分権改革」で地域の自立的経済をつくり、「地域力」をアップします。地域固有のエネルギー源を活用した地産地消、多極分散の地方分権型エネルギーへ転換します。地域の特性や環境条件を活かし、地域固有のエネルギー源(地熱、小水力、小規模風力、畜産や林業などのバイオマス・エネルギー、太陽光・熱など)を活用した地域分散エネルギー供給システムを構築します。
○地域の雇用を維持、創出し、若年者や高齢者、女性、障がい者などの就業支援を充実するため、「雇用創出基金」など地方の自主性が発揮できる財源を確保・充実します。
○ILO94号条約(日本政府は未批准)の趣旨を踏まえ、公正労働基準や生活賃金の保障に基づく委託予算への改善を図るため、公契約基本法・公契約条例を制定します。また、自治体は、政策を通じて公正労働、福祉、環境、人権、男女平等参画などの社会的価値を実現する役割と責任を担っており、これらの社会的価値を落札基準に加える「政策入札」への転換を図ります。
○「女性活躍推進交付金」を創設し、保育サービスの充実、企業等の誘致や働く場の創出、地域資源を活用した両立支援、柔軟な働き方の仕組みづくり、男性の家事・育児参画の促進など、地域ごとに効果的な取り組みを展開します。
○空き店舗を喫茶店や見守り活動、住民の集いの拠点として活用し、住民同士の「助け合い」の輪の拡大などの取り組みを支援します。
○地域社会全体の財産としての「歴史的環境」(すぐれた「町並み」や「景観」など)を守り、再生します。産業遺産やSLを観光資源として活用します。民謡・民話・生活技術など民衆文化の担い手に対する助成・育成策を強化します。
○郵便局の全国ネットワークと郵便・貯金・簡保ユニバーサルサービスを守ります。郵貯資金による低所得者や中小ビジネス、ベンチャー企業再生可能エネルギー産業、女性の起業、NPO、ワーカーズコープなどへの投資・融資を推進します。郵便局を地域公共サービスの拠点として活用します。
○過疎地域の振興をはかるとともに、限界集落をはじめとする集落対策等を総合的に推進するため、新たな過疎対策法をいかした取り組みを推進します。
○山間地域の自然環境や国土保全、水源涵養など多面的な機能を評価するとともに、農林業地場産業の振興、生活交通の確保、医療の確保、雇用の確保、教育環境や道路・上下水道・情報通信基盤の整備、生活環境の改善など、地域に応じたきめこまやかな定住対策を進めます。
○「安全な国」神話が崩れ、市民の間に不安が広がっており、犯罪を減らし安心できる社会を取り戻すことが求められています。警察不祥事の根絶と信頼回復、捜査能力の向上に取り組むとともに、関係自治体や地域住民の声を尊重しつつ「空き交番」の解消を進めます。

雑多な目的を並べた上で、個々の矛盾などを検証せずに希望を書いていったって感じでしょうか。財源・権限委譲を進めて地方税の配分割合を高めつつ、交付税補助金をきちんと確保するというのは要するに無茶苦茶地方にお金を流して国が仕事しないってことでいいんでしょうかね。官製ワーキングプアの話とか個別に議論されるべき項目をある程度載せているのはいいんですが、国のマニフェストでこれだけ細かいことを書きまくると、これが実現したら相当地方の手を縛るような…。まあ知りませんが。
日本維新の会

3国家のシステムを強く賢くする
国と地方の統治機構を改革し、道州制を導入する

〜地方共有税を(新たな地方間財政調整制度)を創設する

  • 地域偏在の少ない安定財源としての消費税を地方税化する。インセンティブ分(5%)と財政調整分としての地方共有税(6%)の組み合わせ→地方の切磋琢磨を促す

あと教育委員会関係についても書いていますが、みどりの風と同じくPDFをコピーできないのでここで勘弁してもらいます。
あまり議論されない問題点を衝いているわりにはどうしたいのか中身がよくわからん、という感じでしょうか。地方共有税についてはこれは一体何なのかちょっと僕にはわかりません。勉強不足で。
維新の会は、みんなの党と同様に当地機構改革を全面に押し出しているんだと思っていたら、項目としては3番目になってます。ただ、マニフェストの冒頭、要約部分では統治機構改革がトップに出ていて、具体的な基本方針を書く部分で後景に退くということになっています。このへんにも「大阪維新の会」と、旧たち日というか国会議員団との微妙なせめぎあいが出ているような気がするんですがどうでしょうか。

民主党自民党を書いてる時はすぐ終わると思って書き始めたのに意外と時間がかかってしまった…。政党マニフェストのPDFはコピー可能にするべきだ、というのが一番の感想です。まあそれはいいとして、この感じだと与党が安定議席をとったら次の政治課題は道州制になるってことなんですかね。みんなの党や維新の会が求める「統治機構改革」として十分なのかはよくわかりませんが、これを見て都道府県知事がどういう対応を取るかちょっと知りたいところです。自民党民主党が支持している兵庫県知事なんて道州制反対論者だと思いますが、同日選挙で道州制に賛成している推薦政党のことをどう言及するんでしょうか…。

*1:ちなみにこの解釈についてはよろしければ拙著を。