経済書・政治書ベスト30

東洋経済の毎年恒例となってきた企画です(ベストいくつ、というのは揺れがあるような気がするけど)。今年は私も東洋経済に連載を書かせていただいていることもあり、あわせて6冊ほど推薦させて頂きました。…しかし、コメントを採用して頂いた細谷先生の『国際秩序』以外は全くランキングに引っかからず、悔しいので紹介した個人的経済書・政治書ベスト3を紹介しておきたいと思います。ちなみに、自分の本もあわよくば載ってるかと期待してはいたのですが、残念ながら選外でした(まあそらそうか)。

まずは経済書から。専門外ですが、こっちの方が選ぶのは楽しかったし、ホントにいい本だったと思うんですけどねえ。
1位は『都市は人類最高の発明である』です。都市経済学者のエドワード・グレイザー先生が様々な例を引きながら、わかりやすく都市の重要性を説明したものです。デトロイトの破綻というタイムリーなネタもあるし、まさに読まれるべき本!とか思ってたのですが、残念ながら選外でした。
都市は人類最高の発明である

都市は人類最高の発明である

2位は『少子化論』。すでにブログで紹介しましたが、いい本です。この本も広く読まれるべきだと思うんだけどなあ。3位は『自殺のない社会へ』です。以前松林哲也先生に頂いていて、非常に手間のかかる、しかし重要な研究だと思ったのですが…(内容は近日中に次のエントリで紹介します)。まあ政治学者が二人入っているので、政治書と言えなくもないかとも思ったのですが、残念ながらこれも選外。6月出版だからかなあ。
自殺のない社会へ

自殺のない社会へ

続いて政治書。野中先生の『さらばガラパゴス政治』が1位となっていて、まあ確かにこれも良い本だと思いますし、一般向けということを考えるとこういう本を挙げるべきなのか、とも思ったのですが、普通に自分で読んで広く読まれるべきと思った本を挙げました(経済書もそうですが)。まあそれが尽く外れるんだから自分の本は(以下略)。
1位は市川喜崇先生の『日本の中央地方関係』です。まあ専門書だし値段ははるしどうだろうとは散々悩んだのですが、一応関連する研究をしている人間としてはぜひ多くの読んでほしいなあ、と。地方分権の議論をするときにはやはり必読だと思うんですよね。まあ欲を言えば、エッセンスを抽出してもっと一般向けの本として書くこともできるのではないか、と思ったりもするところがありますが。
日本の中央―地方関係: 現代型集権体制の起源と福祉国家

日本の中央―地方関係: 現代型集権体制の起源と福祉国家

2位は大西裕先生編の『選挙管理の政治学』。まあこれも「地方分権」を「選挙管理」と置き換えて頂ければ趣旨は1位と同じです。今みたいに区割りやネット選挙なんかが問題になっているときにこそ読まれるべき本だと思ったのですが。なお東洋経済の以前の連載「ガチ」の選挙を作るキーワードは選挙管理でも紹介しています。3位は細谷雄一先生の『国際秩序』。これも以前紹介したとおりですが、良い本だと思います。個人的には一冊入選しててよかったなとw東洋経済絡みで言えば、このたび、京都大学の建林正彦先生編著で、私も色々と手伝わせて頂いた『政党組織の政治学』が東洋経済から出版されます。関係する関西の政治学者を中心に、かなり長い時間をかけて議論してきた成果です。どうぞよろしくお願いいたします。
政党組織の政治学

政党組織の政治学