歴史もの

8月−9月にかけて以下の本を頂いておりました。ご紹介させていただきます。
中央公論新社の上林さんから、編集を担当された『物語ベルギーの歴史』をいただきました。著者の松尾秀哉先生は大学院の先輩です。コースが違うのであまりお話したことはないですが、図書室などでお世話になりました。まだきちんと読めていないのですが、内容は山下ゆさんの紹介をぜひどうぞ。

東洋大学薬師寺克行先生から『現代日本政治史』を頂きました。ありがとうございます。朝日新聞政治記者としてご活躍されていた1980年代以降の日本政治を中心に、歴史としてまとめられたものです。まだなかなか評価の定まっていない時代でもあり、文書としての資料もこれからだということだと思いますが、政治家が公の場で何を言ったかということを中心にまとめられたものとして読むことができるように思います。似たような書籍としては、後藤謙次氏の『平成政治史』がありますが、しかし平成も歴史として語られるくらいに厚みが出ているのだなあと改めて思うところです。
現代日本政治史

現代日本政治史

首都大学東京の河野有理先生からは編者を務められた『近代日本政治思想史』を頂きました。装丁もかっこよい本ですが、編者としておおよそ同世代の研究者の議論をまとめられたもので、大変なお仕事だったと思います。政治思想史というときに、個々の論者の思想を議論するというのではなく、「論争」に注目するという試みは興味深いように思いました。僕のような門外漢からすると、思想家個人について知りたいというよりも「何を言っているか」を知りたいわけで、だとすると論点が明らかになる「論争」から説明してもらった方がわかりやすいということになろうと思います(いやもちろん専門的な業績の議論だと別なんでしょうが)。内容についてはおいおい勉強させていただきたいと思いますが、とりあえずツイッターでもフォローさせてもらってる同世代の研究者(河野さん、大澤聡さん、與那覇潤さん)の議論を楽しく読ませてもらいました。ところどころニヤッとする世代論がありますが、しかし同時に自分が院生のときはたいして社会/言論状況のことは考えずに研究してたんだなあと思い直すところです。やっぱり専門によってぜんぜん違う風景が見えてるんだなあ、というか。
近代日本政治思想史―荻生徂徠から網野善彦まで

近代日本政治思想史―荻生徂徠から網野善彦まで

もうひとつ、関西大学伊藤光利先生と同僚の北村亘・上川龍之進両先生から『民主党政権の挑戦と挫折』を頂きました。ありがとうございます。こちらは連合総研のプロジェクトで、そのダイジェスト版についてはインターネットで読むことができます。以前はブックレットも出ていましたね。僕も以前に御厨貴先生の研究プロジェクトで民主党政権の分析に加わったことがありますが、それは民主党が政権を奪取する過程についての記述が多く含まれていました。本書ははじめて本格的に政権を取った後の民主党について議論されたものではないかと思います。最近では、オーラルヒストリーを中心とした『民主党とは何だったのか』という書籍も出版されましたが、しばらくは民主党政権について評価するための文献が続くのかもしれません。
民主党政権の挑戦と挫折―その経験から何を学ぶか

民主党政権の挑戦と挫折―その経験から何を学ぶか

「政治主導」の教訓: 政権交代は何をもたらしたのか

「政治主導」の教訓: 政権交代は何をもたらしたのか