『比較政治学』

昨日書いた前田さんの本の紹介はなぜか結構読んで頂いたみたいで、やはり公務員数というのは人の心に響く何かがあるのだろうか…。政党政治がらみの話だと、良い本の紹介でもなかなか読まれないのだけれども(泣)。あとやはりタイトルがキャッチーというのはあるのかもしれない。
さて、この機会にもうひとつ良い本の宣伝を。慶應義塾大学の粕谷祐子先生から『比較政治学』を頂いておりました。国家とか政治体制、それに政党や選挙という、政治学の最も基本的な議論について、最新の知見をふんだんに紹介した教科書になっています。英語文献を中心としたかなり大量の研究がコンパクトにまとめられていて、これをおひとりで書くっていうのはすごいことです。特に大学院生向けのコースワークなんかで、ひとつかふたつの章を取り上げて、紹介されてる文献を網羅的に読んでいく…みたいな授業もできそうです(やってみたいなあ)。
まあ本書では、そういったコースワークで全部読まなくても、国家や政治体制がなぜどのように形成されるのか、政治制度がどのような効果をもつのか、についてのイメージを強く喚起するものになっています。比較政治学を学ぶという人だけではなく、1990年代以降に飛躍的に発展したと思われる政治学の実証研究を手軽に概観できるという意味で、政治学以外の隣接分野の研究者の方にとっても非常に重宝するものになるような気がします。

比較政治学

比較政治学