『政治の眼力』

御厨貴先生から『政治の眼力−永田町「快人・怪物」列伝』をいただきました。ありがとうございます。
厨先生が、実際にお会いになった政治家のうち23人の方々について「人物評論」を行われているものです。いろいろ濃淡もあるとは思いますが、「時事放談」などで多くの政治家の方々と関係を築かれてこられた御厨先生ならではの、しかし少し距離を置いた定点観測として読めるように思います。
個人的に非常に興味深かったのは、人物評論そのものより、現在の安倍政権における意思決定のしかたについての分析です。端的にいえば、内閣と党を「シニア・サークル」(麻生太郎谷垣禎一福田康夫の各氏など)と「シニア・ミニスター」(甘利明高村正彦二階俊博の各氏など)でまとめて、省庁間の垣根を越える重要な問題については総理・官房長官と「シニア・ミニスター」を中心に複数の閣僚によるインナーキャビネットを形成してまわしているという見立てということになるでしょうか。それは従来の「官邸主導」などとも少し異なる新しいモデルで、しかし日本の議院内閣制にはあってるような気がします。そう思ったからか、個人的にはこのような人々、とりわけ「シニア・ミニスター」たちの評伝を面白く読みました。