カナダ入国

4月からは大学の異動に加えて,日本で残された期間でやるべき仕事,ゼミがないのでそれほど多くはないけれども一年分の学部・大学院の講義があったので,どうしてもバタバタとして自分自身の手続きが後回しになってしまった。今回難しかったなあと思うのは,カナダに在外研究でいくときの手続きなどについての情報が意外とネットで拾えなかったこと(ワーキングホリデーについての情報は非常に多い)。備忘を兼ねつつ,もしカナダでの在外研究を考える方がいたとすればそのために手続きを紹介しておきたい。

  • 当たり前だけども,まずはどこに行くか決めなくてはいけないわけで,僕の場合,家族で行くということでできればアメリカ以外ということを考えつつ,しかし海外に全然知り合いがいないので誰に紹介してもらえるか…とやや迷う。ただ,2014年に調査でバンクーバーに行って,非常にいいところだというイメージが強く,また都市研究・都市計画研究も盛んだということで最終的には割とすんなりUBCということで落ち着いた。
  • 2015年中に受け入れをお願いする先生を紹介していただくものの,異動とそれに伴う調整があったので,結局手続きがはじまったのは4月末ころから(たぶん異動がなければもっと早くからできたはず)。今回は,先方にLetter of Offerを送っていただき,それにサインするというところから。その上で,滞在に必要な費用について小切手で送るということで非常に戸惑う。小切手の作り方でトラブるし郵便はなかなかつかないし…ということでここでむちゃくちゃ時間をロスしてしまった。
  • 小切手がついたら,そのレシートと正式なLetter of Offerが届き,カナダの移民局CICに就労許可証(Work permit)を申請することになる。別に給与をもらうわけではない客員なのになあ,と思うけれどもそういうことになっているらしい。ただ,一般の仕事であれば移民が入国することによる労働市場への影響の評価(Labor Market Impact Assessment)が必要になるけれども,客員の場合は除外exemptionということになる。細かくはよくわかってないけど,小切手で払った中から大学からCICの方にも申請がいって,専用のIDが振られることになる模様。
  • 就労許可証の申請だが,以前は普通に在日カナダ領事館で申請して取得できたようだけれども,どうも行政改革の一環で日本から領事業務が撤退したようで,アジアの申請については数年前からマニラで統合しているということ。で,もともとマニラに書類とパスポートを送らないといけないという話を聞いていて*1,「えー大変だ」と思っていたら,どうも最近オンライン申請ができるようになったということで,喜び勇んでこれを試すことに。
  • カナダの申請センターに行って,郵送とオンラインとどっちがいいでしょうか,と聞いたところ,オンラインならすぐだということで,さっそくオンラインで送ろうとするけどもこの書類がまたなかなかそろわない。結局送ってないからよくわからないけど,ビザ申請センター経由で要求される書類とオンラインの書類が違ってて,もともとあきらめて郵送か…と思ってた感じで作っていたのであとから書類を用意することになったのも失敗*2。オンラインで必要になった書類は,大学の在籍証明・給与証明をはじめ*3,現在の勤務先からのレターとか,exemptionで行くことの証明としての一応学位記とか。
  • 結局申請が可能になったのが7月上旬で,もともと標準手続き期間が2週間とか出てたので甘く見てたらこれが全く動かないで焦りまくる(あとで3週間に延びる)。2週間たち3週間たち…とやっていて,3週間を過ぎたら問い合わせできるというからしてみたものの何も起きない。4週間ほどたったときにメールが来て,「よかった」と思ったも束の間,オンラインのアカウントを見ても何も変わらない…。焦って大学や今サバティカルでカナダにいらっしゃる先生に聞いてみると,まあ来なくても大丈夫じゃないかと。しかしこれ,郵送でパスポートごと送ってたらどうなってたんだ…。
  • オンラインで取得できるのは(たぶん郵送でもそう)就労許可証そのものではなくて,就労許可証を受け取るためのLetter of Introduction。どうもこれがあると審査が早いということらしいけど,CICのウェブサイトには,LoIを取得することを強く勧告する(Strongly recommend),もしなかったら取得後一度国外に出てもう一度入国審査をする,みたいなことが書いてあるから非常に恐ろしい。とはいえ待てど暮らせど連絡が来ないので,まあ何とかなるだろうということでLoIがないままに出発。飛行機では緊張でなかなか寝付かれず,やや怯えながら入国審査へ。
  • 入国審査のところではいろいろ説明したけど審査自体はまあなんかものすごくあっさりした感じ。ああよかった,と思ってたら,「荷物取って移民審査のところ行って」と言われ,言う通り移民審査へ。結構並んで30分ほど待って審査を受ける。LoIがなくて大丈夫かなあと思いつつ,藪蛇にならないようにLetter of Offerをはじめ申請に使った書類だけ渡すとしばらくしてまあ問題ないという返事が…。これまでの緊張はいったい何だったのか…とは思うものの,まあ一応無事に入国して就労許可証を取得できました,ということに。在日の申請センターでは,子どもの就学許可証も必要だといわれたので,自分の就労許可証を取得するときに,併せて申請しようとしたところ,小学校(とたぶん中学校)は必要ない,親の就労許可証があれば滞在許可証でOKだといわれる…。まあ助かるわけだが,子どもの小学校問題はまだこれから…。
  • オンライン申請なしで大丈夫じゃないか,という気はしないでもないが,たぶんこれは客員研究員みたいに割と気楽な(確実に一定の年限で帰国する)職だからというところも大きいはず。ちゃんと給料が発生する仕事だとこうはいかないかもしれない。でも,日本の企業からの海外赴任みたいに,準備期間が短くていつ戻るかわかるような仕事であれば同じような感じになるのかな。で,ただ,全然返事が返ってこないのはやはり困りもので,最終的に就労許可証を受けるときの話だと,僕自身がやや誤解をしていたところがあって,少し申請に不備があったのかもしれない。そうであれば一度却下→再申請みたいなことにならないと動きようがないわけだが,そういう連絡もないし,一度オンライン申請をしてしまうと変更や取り下げも難しくて無為に過ごすことになる(実際,入国した現在でも取り下げできず申請は宙に浮いたまま…)。
  • LoIなしで困るのは荷物の輸送。そこまで大量じゃないにせよ,家族で行くための荷物を船便で送る必要があり,7月の申請後に某宅配業者にお願いして送ろうとしたものの,海外に実際に送るためにはLoIがないと動かせない,と。いろいろと親切・丁寧にやってもらったけれどもまあ仕方がない,という状況で,結局入国してから就労許可証をスキャンしたPDFを送りやっと発送,ということでおそらく到着は大幅に遅れる見込み。

以上,2016年夏時点での話です。オンライン申請は最近導入されたみたいだし,LoIがこれからどういう扱いになるのかよくわかりません。カナダ入国に当たっては,アメリカのESTAと同じようなeTAを事前に申請しないといけないということになっているけど,今は移行期間でなしでもいけるとか書いてあったりして(もちろんこれはちゃんと取得して出国しました)なかなか不透明なところ。このあたりはアメリカと比べて(?アメリカでやったことないから本当のところよくわからないけど)融通無碍というべきか…。これからどうなるのかよくわかりませんが。

*1:浜松町にあるカナダの申請センター(シンガポールのセンターと並んでる)経由で送るみたい

*2:もともとは家族関係での書類が多かった。戸籍謄本とったりとか。

*3:過去分も含むので,異動があるとややこしい…