住宅@バンクーバー

バンクーバーは住宅が高い,という話は散々聞いているわけだが,実際にグラフで見ると結構驚く。Royal Bank of Canadaのレポートに示されているグラフを見ると,バンクーバーの住宅価格が2000年代後半以降,一戸建てが先導する形で上昇し,その上昇カーブが2014年末あたりから非常に急になっているのがよくわかる。一戸の価格が100万カナダドルを超えてどんどん上昇していることからもわかるように(これ名目値だと思う),普通の人にはほとんど買うことができないわけで,もう一つのグラフからもわかるように,注意所得の人が家を買おうと思ったら,給料の9割持っていかれる計算になるという(=買えない)。ちなみに,具体的にはまだ調査中なのでよくわからないけど,この平均価格の出し方だけど,たぶん区画あたりでの売買になっていて,日本的にいう「分筆」はできないようなので,まあ単位土地面積当たり,という理解でだいたいあってるんじゃないか。バンクーバーの西の方(UBCがある方)が価格が高騰していて,築70年とかの家が200万ドル以上みたいな記事も見た(住むのか知らんけど)。東の方は比較的安くなっているみたいだけどそれでも高い。

まあ明らかにバブルという感じなので,政府(BC州)も対策に乗り出していて,この8月で外国人による住宅購入に15%の税をかけるということを始めたらしい。それで8月の市況が非常に悪くなって,昨年・一昨年と比べて住宅(もちろん中古ですよ)の取引量がずいぶん減ったという報道がなされている(たとえばこのへん)。で,これがバブル崩壊の引き金を引くんじゃないか,みたいな議論があるようだが,総量規制で不動産取引ができなくなってバブル崩壊に至っていく日本の話を彷彿とさせるものがある。まああれは地方政府じゃなくて中央政府による政策だったわけだが。とはいえ,一般の人がほとんど住宅を買えないような状況になる中で政府が動かざるを得ないというのはまあどこでも一緒なんだろう。
バブルになっている原因の一つは,住宅供給が少ないということもある。以前にも書いたように,普通の借家でもなかなか大変な感じになっていて,ウェブのニュースで聞いた範囲だと,Metro Vancouverの空室率は4%程度に過ぎないということらしい!4%ってなんかすごいなと思うわけですが,これはまあやっぱり供給面の問題もあるんだろう。その対応としてやってるのがたぶん集合住宅(Condo)の供給ということで,バンクーバーにはSkytrainという交通システムがあり,少しずつ拡張しているのだが,このカナダラインの方(ほかにも二つ路線があるけどまだそっちはのったことがない)の沿線で,一戸建てを壊して大きな集合住宅を作っている。ダウンタウン以外はほとんど一戸建ての住宅が並んでいるバンクーバーで,カナダラインのあたりは集合住宅が徐々にできているというのはなかなか興味深い。
僕が住んでいる地域は,カナダラインから少し外れたところ,バンクーバーの南の端になるのだが,一番近くのカナダラインの駅(Marin Drive;かなり遠いけど)は日本でいう「駅ビル」化が始まっていて,となりに集合住宅が建設され,なんというか「都市的」なライフスタイルが企図されているように思う。同じ道(Marin Driveという道/ややこしい)沿いのCanadian Superstoreが思いっきり郊外的なスタイルでやってるのに,近くにあるMarin Drive Stationのスーパーは,車ではなく人間がモノを運ぶことを想定したつくりになっているというか。

(↑Marin Drive Stationから。この左右にも建築中の集合住宅がある)
集合住宅というと,カナダラインが続いているリッチモンドのほうはなんか見渡す限り集合住宅という感じで,まさに郊外での集住という感じ。一戸建て中心のMetro Vancouver(ダウンタウンは除く)に電車路線とともに集合住宅が増えてくる,というのは,バンクーバー版「都心回帰」って感じなんだろうか。

(↑カナダラインの中から見たリッチモンド。逆光なので陰になって見えてるけど,集合住宅が多い(モールもある))