空き家税

一戸建てを中心に住宅価格が急激に上がっているバンクーバーでは,ここにきていくつかの対策が取られている。まあ何よりも住宅供給しないといけないんだ,ということで,スカイトレインの駅中心に集合住宅を作っているというのもあるが,需要側のほうに効くような対策も取られている模様。以前にも触れた,海外居住者が住宅を購入するときに15%の税をかけるというのがこの8月から実施されていて,8月は住宅取引量が減ったというのが出ていたが,まあ減ったといっても去年が異常に多かったので,量的には一昨年と大して変わらない程度(だったと思う),最近は結局そんなに効かないんじゃないの?というような論調を見かけることの方が多くなったように思う。ただ,The Globe and the mailのこの辺の記事あたりから,お金がない学生が買ってた,とか購入時に特別扱いがあったというような話が出てくるときびしいくなっていくかもしれない。
もうひとつ出てきたのが空き家税という話。バンクーバーの空き家率は4%くらいということだが,集合住宅の部屋には比較的空き家がある一方,その他の家は1%程度と厳しい状況になっている(数字はこの記事に出ている)。空き家にしてても賃貸市場に出てこないので,借りたい人が借りれない状態が続いているのが問題だ,ということで,この賃貸に出さずに単に空き家にしている家には税金をかけよう,という話が出てきたようです。まだ市長の側の提案で議会は通っていないのでどう推移するかわかりませんが,今出てるのは「2%」みたいな数字で,たとえば1億円の家を空き家にしてる人からは年間200万(!)の税金をとるんだ(may cost owners as much as $20,000 a year on a million-dollar home),みたいな感じ。かなり高い。空き家になってるかどうかというのをどう判断するかが重要なわけで,もともとは電気使用量を見るとかいう話もあったようですが,今のところ自己申告ということになるようです。ただ自己申告だけじゃなくて,市で監査する人を増やして空き家かどうかをチェックしていくと。市長は今のところ多くの市民に関係ない税だということを言ってますが,こういう監査の費用と税収のバランスていうのはおそらく重要な論点になるんじゃないかと思われます。
今回の空き家税は,基本的にバンクーバーにいない人を対象にするということで,ある種東京都の宿泊税とか観光客にかける税とか,そういう法定外目的税に似ているところがあるかもしれません。税収よりも単に資産価値が上がるのを待つという行動を制約したいという感じなので,「取れるところから取る」という趣旨とはやや違うかもしれませんが。ただこれは資産として魅力的なところがあるからできるわけで,日本の空き家(特に農村部)でやったら差し押さえられるまで無視する人が続出したりして…。
まあとりあえず,この空き家税ができれば,BC州政府による外国人の購入時の税金(15%)に続いて市が空き家税をかけたというわけで,それなりにできることをやっていることになります。新聞を読んでいても,次は国の方の行動を求めるような話がありました。国は何するのかなあ。この流れでいくと購入時の特別扱いなどと絡めて,マネロン規制の厳格化とかそういう感じになりそうですが。