税のかけ方

バンクーバーの住宅に関して話題になっている二つの税,空き家税と外国人投資家への税についていくつか進展があったみたい。空き家税については議会がPublic consulatationにかけることを認めた,ということでボチボチ動き始めた感じ。基本的にはいわゆる二次的住宅への課税ということで,Airbnbなんかで使ってるんじゃなくてちゃんとレンタル市場に出せよ,というようなものになりそうとのこと。税逃れをした場合の罰金が10000ドル(上限だということ)で,高い家なら課税額よりも低くなるが,これはもちろんばれた場合に追徴課税があってさらに罰金という感じになるんだろう。面白いのは,次のツイートで書かれているように,現在0%近傍(!!)に張り付いてるバンクーバーの貸家の空室率が3−5%程度に戻ったら(これもたいして高くないが)一応成功ということで税は縮小するか廃止するかする,という話が出ていること。空き家の持ち主の行動を変える(=なんとか賃貸に出す)というのが狙いの政策課税が基本であって,それ以上のことはないというコミットメントなのかもしれない。ただ,上がった税収ってどうするんだっけ。まあ基本的には空き家かどうかのInspectionに向かいそうな感じがする。そう考えると,日本でやってたいわゆる産廃税に通じるところがあるのかも。


(ちょっと追記)Metroでは,City can now audit your homeというややおどろおどろしい見出しで書いていた。これによると,1年のうち9か月が空き家になっているところに税をかけるという話で,こういう立法の背景には,BC州がこの夏に,バンクーバー市に対してこの税の徴収や執行を認めたということがあるらしい。下で書いている管轄権jurisdictionが基本的には州にあるところ,ということなんだろうか。また,この記事では,バンクーバー州議会のうちNon-Partisan Association(無党派の集まりという政党みたいな組織!?)の議員3人が,あまり効果がないということで反対票を投じているらしい。過半数はVision vancouverで押さえてるからあまり問題にならない,ということなのかもしれないけど。
さて,もうひとつの外国人投資家への税の話は,それで被害(?)を受けた人たちが集団訴訟を提起しているっていう話。こちらの記事で出ているのを見ると,今のところの原告は,バンクーバーにいて不動産を買ったけども,買った後に税金が入ることになってしまってえらい高くなった,どうしてくれるんだ,みたいな感じが中心か。永住者じゃない人は税金を払わないといけないということになっているので,そういった非永住者が原告となって集団訴訟を起こしているみたい。立法過程はフォローしてないけど,そんなにバタバタと決まったものなんだろうか。日本の感覚だと,法律ができてから施行までに結構間があるから,そこで「駆け込み需要」的な売買がむちゃくちゃ増えそうなもんだけど。そういうのを防ぐためにもすぐに施行した,ということかもしれないけどそれはそれで結構きつい話ではある。
それに加えてなかなか興味深いのが,先ほどの記事のリンクにあるビデオで紹介されている憲法の話で

The constitution allows Provinces to impose taxes within the provinces to raise revenue for provincial purposes. British Columbia acted to protect the residential real estate market from distortion.

ということで,BC州政府が市場の歪みを是正するような税を,しかも永住権を持っていない外国人に限って課すというのは,カナダが連邦として結んでいる国際的な取り決めを破るような越権行為であって認められないというような議論が出されているらしい。しかしだとするとバンクーバーの空き家税だって歪みに対する対応なわけでどうなるんだ,みたいな気がしてくるわけだけどどうなるんだろうか。