政治学の第一歩

政治学の第一歩』という教科書を,大阪市立大学の稗田健志さんと神戸大学の多湖淳さんのお二人との共著で出版しました。個々の意思決定主体の選択(方法論的個人主義)とその戦略的相互作用に注目して,マンション管理組合から国際制度まで,利益の調整と集合行為問題の解決を図るための政治権力とそのコントロールのあり方を考える,という感じでしょうか。まだそういう概括的な教科書を書くような年齢でもないだろうとも思いましたが,私などとは違って国際的に活躍されているお二人とともに入門的な教科書を書くというプロジェクトに魅力を感じて時間をかけて用意してきました(執筆・編集過程の議論は非常に面白かったので,終わってしまうのが残念ですが)。執筆中に,安保法制の議論など,権力や法の支配・立憲主義,選挙,安全保障などにかかわるのアクチュアルな問題が盛り上がってきたわけですが,そういう問題を理解するためのひとつの枠組みを提供したいな,とも考えておりました。
網羅的なのでひとつひとつのトピックの紹介を深掘りするのは難しいですが,基本的に一貫した枠組みで説明しているということですから,学生のみなさんには本書を予習してもらいつつ,内容を深めるかたちで授業する,というスタイルを想定しているつもりです。今後もウェブサポートページの充実を図っていきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
現在,ウェブサポートページでは,教科書採用を頂いた方に授業用スライド(政治学原論(4単位),政治過程論(2単位),政治学概論(2単位))の配布も行っています。スライドはさらに追加される予定です。
また,2016年6月7日に「『政治学の第一歩』で考える政治学教育のあり方」というワークショップを開催する予定です。ご関心のある方はお問い合わせください。

政治学の第一歩 (有斐閣ストゥディア)

政治学の第一歩 (有斐閣ストゥディア)