賃貸契約更新など

昨日,BC州議会で,バンクーバーの家賃を上げてしまうloopholeをふさぐという法案が提案されたらしい。どういうものが抜け穴になっているかというと,vacate clause,なんというか追い出し条項ともいうべきもので,借家人はあらかじめ定められた契約期間が過ぎた後に,借家を立ち退くか新しい契約を結ぶかを迫られるというものである。これがあると,新しい契約が見込める貸主の側としては契約期間が来た時に高額の新しい家賃を提示することになり,借家人はそれを受け入れられなければ立ち退くしかないという話になる。立ち退こうとしても,現在のバンクーバーは歴史的に異常だと言われるほどに貸家がない状況なので,すぐに立ち退くことは難しく,その契約を飲む羽目になることが多い。で,新しい契約で支払うことになる家賃が高いので,バンクーバーの家賃が上がっていくという話になる。
今回の法案では,借家人の権利を強くして,家賃の上げ幅を限定する(2%+インフレ率)ことを定めるということ*1。日本のように「期限の定めのない」契約というのとはまだ違うとはいえ,基本的にもとの家賃に近い額を支払うならばそこに居続けていいという話ではある(事情によって無理にでも立ち退きを求めることができるのかはよくわからない)。バンクーバーの場合は,ダウンタウンとかを除くと家主の敷地の中にbasement suiteとかlaneway houseが建つことが多く,日本のように部屋の小さい集合アパートみたいなものがあんまりないので,再開発をめぐる立ち退き問題とかはあまり生じないような気もするけど,それでも最近はコンドミニアムが増えているわけで,今後その辺どうなるんだろうかなあ,という気はしないでもない。ただ全体的に移民が多く,ということは「ずっと住んでる」という理由で移動を拒否する人は日本ほどいないようにも見えるので,あまり問題にならないのかもしれないが。
もうひとつ,興味深いニュースとして,バンクーバー市でホームレスの人々の一時的なシェルターを立てる場所が決まったという話があった。実は割とうちに近いところなんだけど,周辺住民が突然だといって抗議のプラカードを立てているのがテレビでやっていた。ホームレスの人々の中には暴力的な人がいるとか,彼ら/彼女らが(おそらく薬物に)使う針を子どもが拾ったらどうするんだ*2,みたいな話が抗議の理由となっているみたい。こうなってくると典型的にNIMBY問題で,どんなところでも円満な解決は簡単ではないのでしょうが。

*1:ウチも値上げがあったけどこれ以上だったような…。まあ四捨五入もあるんだろうが。

*2:これはとても寒くて多くのホームレスの人々がコミュニティセンターに入っていた去年も問題になっていた。