年の瀬

今年はなんか仕事した感のある年だった。まあ前の3年間はどっかで在外研究に引っかかってるから,一年がっつり仕事をしてるというのは4年ぶりということで,確かにこんなにたくさん書いたものが出たのは2015年以来。論文もまああるけど,コラムや長めの取材起こしがめちゃくちゃ多かった気がする。

さてその仕事はというと,この2年間続いたのでさすがに今年は単著の本はなし。ただ来年末くらいをめどにまとめる話が進んだ。あとやることは1章を書くことと,来年度ファンドが取れたらひとつ調査をしてそれを盛り込むということか。それが来年のメインの仕事になりそう。出版された本としては,いずれも昨年までに書いていた分担執筆ものが。『東南アジアにおける地方ガバナンスの計量分析-タイ,フィリピン,インドネシアの地方エリートサーベイから』はもう5年以上前に原型ができていて、『オーラル・ヒストリーに何ができるか-作り方から使い方まで』はUBCで,『社会のなかのコモンズ』は帰国してから書いたもの。

今年書いたものとしては,都市センターの『都市とガバナンス』でマンションの管理組合について書いた「転換期の分譲マンション-持続可能性と公的介入」が個人的には一番大事な仕事。国交省にマンション総合調査の個票データを使わせてもらって書いたもので,国や地方自治体とは違うところで行われる「政治」について分析した珍しい研究ではないかと。あとは統治機構関係のものを書いていて、まず最近衆議院調査局の『RESEARCH BUREAU 論究』という雑誌に発表された「地方議会の選挙制度をめぐる問題点と改革の論点」(リンク先重いPDF注意)という,10年くらい前に書いたパブリックコメントをベースに最近の研究を加えてアップデートしたものと,憲法学者とのコラボでもうちょっと広く憲法上の地方自治制度について書いたものがひとつ。あとはなぜか最近右翼政党の研究をしていて一応カタチになったものがひとつ。これはたぶん来年出版だとは思うけど,何か編者の方々との見解の相違が大きくてどうなるのか不明。

今年はたぶん今までで一番海外出張が多い年でもあった。学会報告が2回とセミナーで2回かな。学会報告のほうは去年までに書いてた「選挙疲れ」論文とレヴァイアサンの大都市についての論文。せっかく英語にしたのでこれも投稿していかなくては、と思いつつ、改稿する時間がなかなか取れず…というのは言い訳ですが早く進めなくては。出版までたどり着けていないのに先々まで考えるのはどうかと思いますが,できれば再来年には『新築がお好きですか?』をもとに英語の原稿を作るような作業にもチャレンジしてみたいとは思うところ。まあ問題はバタバタと入ってくる仕事とどう向き合うかにかかっているような気ガガガ。 

社会のなかのコモンズ:公共性を超えて

社会のなかのコモンズ:公共性を超えて

 
オーラル・ヒストリーに何ができるか: 作り方から使い方まで

オーラル・ヒストリーに何ができるか: 作り方から使い方まで

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2019/03/27
  • メディア: 単行本
 

 今年もいろいろ面白い本を読む機会がありました。どれか一冊というのも難しいところですが,個人的に一番印象に残ったのは遠藤さんとウィリーの『イデオロギーと日本政治』でしょうか。あとはいまさら言うまでもなくという感じですが,曽我さんがこの20年くらいの地方政治研究についてまとめたともいえる『日本の地方政府』。どちらも読み継がれる本になるのではないかと思います。 

イデオロギーと日本政治―世代で異なる「保守」と「革新」

イデオロギーと日本政治―世代で異なる「保守」と「革新」

 
日本の地方政府-1700自治体の実態と課題 (中公新書)

日本の地方政府-1700自治体の実態と課題 (中公新書)