2012-01-01から1年間の記事一覧

今年の○冊(2012年)

三回目になりますが、年末ということで今年の◯冊を。ええと念のためですが、あくまでも基本的には出版された博士論文をご紹介するのが趣旨なので、脱線して紹介する非−博士論文は別として、必ずしも一般に読みやすいオススメ本とはちょっと違うことをご承知…

地方分権改革の政治学

北海学園大学の木寺元先生からいただきました。どうもありがとうございます。昨年出された博士論文を出版したご著書で、10年近く駒場で一緒に学生時代を過ごした友人としても出版を非常に嬉しく思うところです。 内容は、もちろん表題の通り地方分権改革の政…

多数決と法の支配

12月16日の選挙結果は、自民党と公明党が合計で320議席を超える大勝となった。自民党総裁が、以前から「戦後レジームからの脱却」と言ったり、改憲志向が強いということが指摘されていたが、今回はまず憲法96条の改正に意欲を示しているということで、この点…

国際秩序

拙著と同じタイミングで商業的なライバルとして刊行された中公新書。まあ気が小さいもので自分の本の売れ行きをたまにチェックしてしまうわけですが、著者の知名度からすれば当然のことですが本書の方がよく売れていて、やや専門が違うのですがどういう感じ…

選挙運動

今回の選挙は、インターネット上の「選挙運動」をめぐって議論がさまざま出ているようですが、じゃあその選挙運動ってなんなの?というとあんまり中身が知られていないような気がします。というか、もともとその定義自体相当怪しいものがあります。 まず基本…

地方自治・イタリア・民主主義論など

10月末から11月頭はちょっとばたばたしていて、頂いてからご紹介に時間がかかってしまいましたが。この2回ほど、らしくない(?)エントリーが続いたのですが、通常営業ということで。 まず、聖学院大学の鈴木潔先生から『自治体の予算編成改革』を頂きまし…

解散するのか…?

年内解散がしばしば報道されるようになり、総理が16日解散と言ったという話になっているが、ここで解散するとしたら、民主党は政権交代で民主主義の可能性を見せつけて、解散でその可能性を否定しようとしているようにも見える。独立した司法の強い要請を無…

青い春

最近、子どももちょっと大きくなってきて、車に乗っている時にラジオを聞き流していることが多い*1。とはいえ聞いてはいるものの、日本の歌って基本的に甘い恋愛以外はテーマにならないんだなあ、とおっさんじみた感想しかもちようがない。どうでもいいのだ…

非営利法人としての政党

某仕事で非営利法人制度について色々と調べたのだが、原稿の締め切りに遅れてしまってご迷惑をおかけしたものの、個人としてはなかなかよい機会だった。ただ調べたことを全部かけるような分量では当然無く、あれもこれも書きたいなあ、と思いつつ残念なとこ…

海外出版

同僚の稗田健志先生からPolitical Institutions and Elderly Care Policy: Comparative Politics of Long-Term Care in Advanced Democraciesをいただいておりました。だいぶ前に自分でも買っていて、最近にもかかわらずいただいたことをすっかり忘れていた…

波及効果

大阪維新の会が日本維新の会という政党を作ったことに伴って、いろいろな地域の地方政治にぼちぼち影響が出ているらしい。注目度が高いことから、地域版が結構取り上げているので、そのまとめ(どうせすぐ消えてしまうのだけども)。気が向いたらまた追記し…

明治の政党論

9月9日に行われた大阪維新の会の「公開討論会」というやつは、まあその各論の内容は脈絡ない話が飛び交っていただけのような気がするが、ああいう会自体が行われたことに大きな意味があるということだろう。「地方政党」であった大阪維新の会という存在に対…

議員定数削減

数日前に、橋下徹大阪市長が、現在480である衆議院の議員定数を、240に半減することを提案する考えを示したとのこと。朝日新聞の記事によると、以下のとおり。 「衆院定数を半減」 維新代表・橋下氏が表明 大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は26日、松山市…

合区と分区

少し間が開いてしまったが、8月1日の公募区長の就任がらみで出てきた興味深い案件として、「大阪都」に向けた合区問題、あるいは行政区の再編問題というものがある。そもそも区長就任の記者会見は、読売新聞の記事でわりと丁寧に書かれているが、公募区長の…

政党化?

この数日の大阪の地方政治は、公募区長の就任のような大きな動きとともに、なかなか興味深い論点がいくつか出ていたのではないかと思う。いくつかあるが、まずは大阪維新の会が「政党化」を目指すという話。毎日新聞の記事では、かなり細かいところまでフォ…

選挙区定数

大阪府に続き、大阪市でも、維新の会によって選挙区定数を変える提案が出されたということ。 維新大阪市議団、定数2割削減案提出へ 2012.7.19 05:07 大阪市議会(定数86)の議員定数削減を掲げる最大会派の大阪維新の会は18日、削減幅を2割とし、定数…

羽曳野市長選挙/河内長野市長選挙

この二週間で大阪府ではふたつの市長選挙が行われたが、これは今後の大阪府政を考える上で興味深い選挙だったといえるのではないか。 まず、羽曳野市長選挙については、維新の会、首長選初黒星 大阪・羽曳野市長選、現職3選と割と大きく報じられているよう…

野党議員から与党議員へ

ほとんど社会党の衰亡史ともなっている村山富市回顧録での、与党議員となった社会党議員に対する見方はなかなかおもしろい。ちょっと長いけど印象に残った部分を引用してみる。まるで昨日に至る民主党の話をしているようだ。 −−−ところで当時、社会党の委員…

造反有理?

社会保障と税の一体改革が大詰めを迎えているが、いわゆる「小沢派」が民主党を割るという話になっているらしい。小沢一郎氏自身については、過去に何回もこういうことが行われているので、もはやデジャブでしかないが、今回の焦点は与党が衆議院で過半数を…

地方自治の法と行財政/現代日本のNPO政治

北海学園大学の木寺元先生に『地方自治の法と行財政』をいただきました。法律・政治・行政・財政など他分野の研究者が集まって執筆した教科書です。これまでの地方自治の教科書と言えば、地方自治法だけ、地方行政だけ、あるいは地方財政だけ、といったもの…

最高裁回顧録

行政改革会議にも参画した行政法の権威である藤田宙靖先生が、最高裁の判事として勤務した7年半を振り返った回顧録。文章がうまいということもあって、読み物としても単純に面白い。しかし、それだけではなく、なかなかわかりにくい最高裁判事の仕事ぶりを…

首相政治の制度分析

公私共にお世話になっている京都大学の待鳥先生から『首相政治の制度分析』を頂きました。どうもありがとうございます。 1990年代の制度改革を挟んだ日本の首相政治を論じたこの本では,最近の先行研究で言うところの「議院内閣制の大統領制化」(Poguntke a…

ローカル・ガバメント論ほか

とうとう著書の出版から一年が過ぎ,トップの記事が入れ替わることになった。途中からは「まだあるのか…」と思ってはいたものの,日常的に見なくなるのはちょっとさみしい気がする…。 それはいいとして,愛知大学の野田遊先生から『ローカル・ガバメント論』…

地方政府の民主主義

このたび,初めての単著を出版させていただくことになりました。『地方政府の民主主義』という大仰なタイトルで,中身がタイトルについていっているのかは,読者の皆様のご高評にお任せしたいと思いますが,タイトルを思いついたときには,自分では20代のと…

茨木市長選挙

年明けからずっと注目し続けていた選挙だったが,ある意味で凄まじいものだった。結局最終的に4氏が出たわけだが,32266票で当選した人は自民市議で維新とみんなの党が支援,次点(24692票)は民主党と共産党の支援を受けた市議,三位(12166票)は9条ネット…

日本のマクロ政体ほか

『日本のマクロ政体』を著者の大村華子さんにいただきました。日本の政治/政府はひとびとを代表しているのか,という非常に大きな問題に取り組んだ博士論文をもとにした力作です。常に文句を言われ続ける日本政治ですが,少なくともある時期まで,かなりの…

新年度

早いもので2012年ももう3ヶ月を過ぎて新年度になりました。やはりこっちの方が仕事始め,って感じがしますね。まあホントに「秋入学」になったらどうなるのかよく分かりませんが。一昨年度から休みなく何か書いてる気がするので,今年度は今書いているものが…

私塾と政党

大阪維新の会の「維新政治塾」をはじめ,滋賀県の嘉田由紀子知事の未来政治塾,愛知県の大村秀章知事の東海大志塾,河村たかし市長の河村たかし政治塾,そして最近は大阪府知事選挙に敗れた倉田薫前池田市長が薫風政治塾なんてのを始めた,という報道もある…

学級委員長モデル

上記の『戦後日本政党政治史論』を読みながら,地方政党を中心に勉強しようという来年度のゼミについて考えてた。政党って言ってもなかなか取っ掛かりがないし…と思いつつ,2010年にNHKで放送されていた,「ようこそ先輩」で御厨貴先生が「政党ってなんだろ…

戦後日本政党政治史論/専門性の政治学

力久昌幸先生,辻陽先生,辻由希先生,白崎護先生から『戦後日本政党政治史論』を頂きました。的場敏博先生のご遺著ということです。的場先生の門下の先生方でご遺稿を発見されて,ご著書として出版されたそうです。「補論」を書かれた待鳥先生も含めて大変…