年明けからいろいろと

お世話になっている先生方からご著書を頂いておりました。御厨貴先生からは,『戦後をつくる』を。主に90年代に書かれた論文を再録したものになっています。以前に読ませていただいたものがいくつか入っていて,少し懐かしいところもあります。特に3章の全国総合開発計画の論文は個人的に印象深いものでした。そうこうしているうちに次の『政治家の見極め方』も頂いてしまいました。「ゲーム」「コストパフォーマンス」「異人」をテーマに政治家に注目しながら考えていくということで,それらを意識しながら御厨先生がこれまでに見られてきた・現在見ている政治家について語っていくというものです。堅苦しい政治学の入門書とは違う政治入門,ということなわけですが,実は「ゲーム」「コストパフォーマンス」はもとより「異人」というのも政治家がふつうの市民から「選択」を経てつながっていくようになっているもの,として考えたら,実は合理的選択論と似たような枠組みというところもあるかも,と思ったりもします。「講談政治学」ということで語りをベースにまとめられているということですが,ゲラを見るだけでも大変ですよね…。しかも他にもいくつかまとめられているものもあるわけですからその精力的な出版には本当に驚きです。

戦後をつくる――追憶から希望への透視図

戦後をつくる――追憶から希望への透視図

政治家の見極め方 (NHK出版新書)

政治家の見極め方 (NHK出版新書)

著者の先生方から,『よくわかる行政学 第二版』をいただきました。大判でトピックごとに見開き2頁で説明が行われるというスタイルのテキストです。多くの教科書はテーマごとに書かれているわけで,こういうトピックごとに説明するスタイルって珍しいように思います。結構辞書的に使うということもできるかも,という感じです。船橋洋一先生から『21世紀地政学入門』をいただきました。文藝春秋連載の時評をまとめられたものということで,バランス・オブ・パワーが変化する中で日本の位置づけを論じるという感じでしょうか。しかし時評をまとめるというのはあとから「答え合わせ」があるわけで大変なことだと思います。少し読ませていただいた限りですが,数年前に書かれたものでも今読んでなるほどと思わせられるところがあるのはすごいことですね。
21世紀 地政学入門 (文春新書)

21世紀 地政学入門 (文春新書)

大阪市立大学の野田昌吾先生からは『「再国民化」に揺らぐヨーロッパ』をいただきました。以前に同じ高橋進・石田徹両先生の編集で『ポピュリズム時代のデモクラシー』が出ていましたが,その続きという感じでしょうか。外野から見ていても,ヨーロッパの統治は非常に難しくなっているなあと感じるところではありますが,本書ではエスニック地域政党のところなど,個人的にも興味がある議論もなされておりますので,ぜひ勉強させていただきたいと思います。同じく大阪市立大学の永井史男先生からは,『グローバル時代のアジア都市論』をいただきました。アジアを中心とした比較都市研究,一度ぜひやってみたいですが,まあ結構先ですね…。自分の関心にある程度整理がついたらその延長で,という感じですが。永井先生は都市ガバナンスについて書かれていますが,他にも交通やファイナンスなど面白そうな論点もありますので,勉強させていただきたいと思います。
グローバル時代のアジア都市論 持続可能な都市をどうつくるか

グローバル時代のアジア都市論 持続可能な都市をどうつくるか