2014-01-01から1年間の記事一覧

今年の◯冊(2014年)

恒例でやっております今年の○冊の季節になりました。2010年からやってるので5回目になりますね。年々しんどくなってく気がしますが、このコーナーだけは読んでくださる方がどうもいるようなので、気力の限りは続けていきたいと思っております。とはいえ、在…

『失われた民主主義』

ちょっと仕事の関係でシーダ・スコッチポル『失われた民主主義−メンバーシップからマネジメントへ』を読んでいたのだが、今回の選挙を意識しながら読むとなかなか趣深い本であるように思われる。本書は、アメリカの建国以来地域的なボランティア団体/結社が…

『政治理論とは何か』ほか

この間何冊か書籍を頂いていました。ちょっとバタバタとしてご紹介できませんでしたが、いくつかまとめてということで。 まず、名古屋大学の田村哲樹先生に『政治理論とは何か』を頂きました。ありがとうございます。詳しい紹介はたとえばこちらにお任せしま…

なぜ政治学を学ぶのか

最近、共著で大学入学後に初めて学ぶような人を想定した政治学の教科書を書き、二年次配当の政治学原論を講義し、TwitterではG型L型大学とかそういう話が流れてくると、やはりなんで政治学なんて勉強しないといけないのか、ということを考えなおすことになる…

『比較政治学』

昨日書いた前田さんの本の紹介はなぜか結構読んで頂いたみたいで、やはり公務員数というのは人の心に響く何かがあるのだろうか…。政党政治がらみの話だと、良い本の紹介でもなかなか読まれないのだけれども(泣)。あとやはりタイトルがキャッチーというのは…

『市民を雇わない国家』

東京大学の前田健太郎先生の博士論文。非常に勉強になった。基本的には日本を中心とした丁寧な事例研究を通じて、公務員の数がどのように決まっているのかという問題を議論するもの。最後のところでは、計量分析の成功研究についての再現を使った分析をして…

歴史もの

8月−9月にかけて以下の本を頂いておりました。ご紹介させていただきます。 中央公論新社の上林さんから、編集を担当された『物語ベルギーの歴史』をいただきました。著者の松尾秀哉先生は大学院の先輩です。コースが違うのであまりお話したことはないですが…

『「平等」理念と政治』ほか

東京大学/立教大学の佐藤健太郎先生から『「平等」理念と政治』を頂きました。どうもありがとうございます。戦前の地方税財政について、個人間・制度間・地域間などでの平等という観念を手がかりにその政治過程を分析された博士論文をもとにされた著作で、…

『政党内閣制の展開と崩壊 1927〜36年』

以前紹介した村井良太先生の本のいわば「続編」。あとがきを読むと、もともと一本の博士論文として構想・執筆されていたものであったのに、大幅に加筆修正して二本目を送り出されたとのこと。サントリー学芸賞をとった一作目も面白いが、最近政党に対して個…

学長選挙

どうでもいい雑感なのだが、備忘のためのメモ。 今日、ちょっと某雑談中に学長ってどうやって選べばいいんだろう、という話が出てきた。学長は、というよりも専門家を選ぶのって言うのはなかなか難しい。企業経営者などにも通じる問題ではないだろうか、とい…

『政治哲学と現代』

名古屋大学の田村哲樹先生から『岩波講座政治哲学6 政治哲学と現代』をいただきました。ありがとうございます。田村先生は、「熟議と参加――リベラル・デモクラシーを超えるのか」という論文を寄稿されていて、並べて語られることの多い「参加民主主義」と「…

最近のいただきもの

頂いているのにぜんぜんご紹介できていないのですが。 イリス経済研究所の和足憲明先生から、『地方財政赤字の実証分析−国際比較における日本の実態』を頂きました。日本の他に英米仏独の地方債について研究した労作です。中央統制と市場規律で地方財政赤字…

アカウンタビリティと説明責任

ちょっと先に人前でしゃべる仕事があり、「アカウンタビリティ」概念を軸に話をしようと思っていたが、どうもこの概念は一般にきちんと理解されているとはいえないと思われる。そこで、日本で「アカウンタビリティ」という言葉がどう使われてきたか、という…

最近のいただきもの

もはや最近、とはいえない状況になってきましたが…。頂いた本を一応拝読して、色々書きたいなあと思いながらたまってしまうという悪循環にハマってしまいました。1月からのものですが、とりあえずご紹介を中心に。 御厨貴先生から『知の格闘』を頂いておりま…

大阪府議会における選挙区割り変更の議論とその問題点

大阪市は出直し市長選挙で色々止まっているように見えるが、大阪府では非常に興味深い動きがある。それは、2015年統一地方選挙に向けた選挙区割の変更である。以前の記事でも書いたように、大阪府では2011年6月(前回統一地方選挙の直後、いわゆるダブル選挙…

大学における民主性と専門性

(大阪市立大学法学部法律相談所の『知法会誌』に書いた記事です。市大法学部では、法律相談所の学生のみなさんがこういう雑誌を定期的に発行していて、教員も簡単なエッセイを寄せるということが行われています。私が書いたのは初めてだったのですが、〆切…

決め方が決まってないことをどう決めるか

橋下徹大阪市長の突然に辞任が話題になっており、これはまさに地方政治としてものを決める制度の様々な不備を明らかにしているところだと思われる。地方の選挙制度や「二元代表制」といったものの問題は別稿に譲るとして、とりあえず大阪都構想を検討する法…

社会的選択理論への招待

日本評論社の小西さんから『社会的選択理論への招待』を頂きました。どうもありがとうございます。読もうと思っていた本で、難しそうだから時間係るかなあと思っていたら、基礎的なところから丁寧に議論が進められていて、非常に読みやすい書籍でした(内容…

府県・政令市・特別区

政令市、現在の区を「総合区」に 役割強化で法改正へ 政令指定都市の行政区の役割を強化する地方自治法改正案の概要が19日、分かった。現在は窓口業務が中心の各区を「総合区」に格上げして予算編成や人事権の一部を持たせるほか、道府県と政令市の仕事の…

最近のいただきもの

しばらく更新してなかったのですが、去年の10月頃からいくつか本を頂いておりました。 まず與那覇潤先生の『日本人はなぜ存在するか』。Twitterなどでもいろいろ感想を見ましたが、皆さん書かれているように「再帰性」がポイントになるということかと思いま…