2015-01-01から1年間の記事一覧

今年の○冊(2015年)

もう年末ということになりました。この数年続けている博士論文をもとにした著書の紹介の季節ということで。もともとは2010年に日本政治関連の博論出版が相次いだのを見てそれを紹介しようと思って始めたのですが,当時と比べると最近は現代日本政治関係の博…

分権と自由主義

最近はいただいたものの記録だけで精一杯,という感じですが,この間紹介しきれなかったものをまとめるかたちで。無理やり共通性を見出すのはあんまり良くないかもしれませんが,全て個人/小規模な範囲での自己決定について論じているように思います。小さ…

代議制民主主義

京都大学の待鳥聡史先生から『代議制民主主義』を頂きました。いつもありがとうございます。ていうか今年中に二冊目の単著を出すという大車輪ぶりで大変です…(一冊目はこちら)。2015年は「民主主義」をテーマにした書籍がたくさん出て,色々話題にもなりま…

自民党政治の源流と現在

しばらく書いていないうちにいろいろといただいておりました。とりあえず関係ありそうなものをまとめてご紹介ということで。 ちょっと前になりますが,青山学院大学の小宮京先生に『自民党政治の源流−事前審査制の史的検証』を頂いておりました。どうもあり…

分極化するアメリカとその起源

津田塾大学の西川賢先生から頂きました。ありがとうございます。『ニューディール期民主党の変容』に続く二冊目の研究書で,民主党を扱った前著のちょっとあとの時期にあたる共和党を扱われた本です。二冊目のハードカバーの研究書を上梓されるというのは本…

ダブル選挙雑感

2011年に続く2015年の大阪ダブル選挙は,前回と同様に大阪維新の会の勝利に終わった。まだ選挙区別のデータとかをちゃんと確認していないけど,現時点での雑感を簡単にメモ。 まず前回と比べて投票率は10ポイントくらい落ちているが,西成区を除くと得票比は…

シリーズ日本の政治

増山幹高先生から,シリーズ日本の政治の7巻『立法と権力分立』をいただきました。どうもありがとうございます。本書は,立法を集合行為のジレンマに対する権力行為として捉えて代議制民主主義のありようを考えるというもので,これは(僭越ですが)先日私た…

戦国大名論−暴力と法と権力

実は副題に誘われて購入したのだが,非常に面白かった。歴史家である著者が,戦国大名の形成について論じているのだが,僕がイメージしているような「歴史学」とはちょっと違っていて,まさに「政治学」の文献と言ってよいのではないかと。著者によれば,戦…

民主主義の本質と価値

日本政治学会で報告と討論。どちらもなんというかきっちりとした専門のところではなく,「門前の小僧習わぬ経を読む」感が強かったように思うが,なんとか最低限のお役目は果たせたということで。で,討論者としてのお仕事のために読んだのが,ケルゼン『民…

夏休みに頂いた本

同志社大学の木下健先生から,『二院制論』を頂きました。博士論文を書籍として出版したものとのことです。二院制について,政治学のみならず法学の先行研究も詳細に調べられつつ,二院制以外の政治学の様々な分野の研究との関係を議論しながら,うまく実証…

政党政治とアカウンタビリティ−最近のトレンド?

ずいぶん前から頂いていた本について,まとめて何か書こうと思っていたものの,時間がなかなか取れない上に本が溜まっていくのでやや諦めてとりあえず書籍の紹介を。 まず,3月ころに(もう半年前!)粕谷祐子先生・曽我謙悟先生・大村華子先生から『アカウ…

暴力と適応の政治学/歴史認識とは何か

京都大学の岡本正明先生から、『暴力と適応の政治学』をいただきました。ありがとうございます。本書では、学術書としては珍しく、著者の個人的な体験(特にテーマであるジャワラ(ならず者)との関係)が書かれたりしていることからも感じられるように、政…

違憲審査の方法

午前中,@lawkus さんなどにコメント頂きながら少し考えたのを備忘のために整理。スタートは東京新聞の記事,「「安保」契機に民主が新制度検討 法案の違憲審査 最高裁に要請を」で,メインはたぶん「新制度案は、政府、国会が、法案や国家の行為の憲法適否…

地方政治研究

ずいぶん時間が立ってしまいましたが,3月ころに近畿大学の辻陽先生から『戦後日本地方政治史論』を頂いておりました。最大限個々の自治体の「政治史」に触れつつ,そこから戦後日本の地方政治史全体を議論しようというものだと思います。実は光栄なことに,…

『政治の眼力』

御厨貴先生から『政治の眼力−永田町「快人・怪物」列伝』をいただきました。ありがとうございます。 御厨先生が、実際にお会いになった政治家のうち23人の方々について「人物評論」を行われているものです。いろいろ濃淡もあるとは思いますが、「時事放談」…

現代日本における都市メカニズム

大阪大学の人間科学研究科での博士論文をもとにした著書。非常に筋がクリアなので某学会に向かう電車やスキマ時間(!?)などで一気に読めてとても勉強になった。主張は極めて明確で、日本でも繰り返し語られてきた「都市=つながりの失われた場所」という…

比較政治のいただきもの

最近は統一地方選挙とか大阪都構想の住民投票とか、とにかく事実を追っかけているだけでもえらく労力がかかる状態だったので、ツイッターにはメモするもののブログは全くということで、せっかく頂いていた本のご紹介もできない始末でした。色々たまっている…

投資社会の勃興

オビや冒頭を読んで、自分の研究にもいろいろ示唆があるんじゃないかと思って読んでみた。非常に面白かったし勉強になったと思う。ただもうちょっと公債のしくみとか具体的な説明があった方が読みやすかったような気がしたが(とはいえ今でも十分長いので、…

多数決を疑う

慶應義塾大学の坂井豊貴先生に頂きました。自分でみてる限りAmazonだと拙著『民主主義の条件』と一緒におすすめされることが多いのですが、ぜひ一緒に読んでいただきたい本だと思います。たぶん、坂井先生と僕は、重きを置いているところがちょっと違うと思…

建築と権力のダイナミズム

分担執筆しました『建築と権力のダイナミズム』(御厨貴・井上章一編、岩波書店)が出版されました。私は「庁舎と政治−都市の中心をめぐる競合と協調」(第5章)を担当しています。政治と建築というテーマは、日本ではそれこそ御厨先生が意識的に分析をはじ…

デモクラシーと民族問題

立教大学の中井先生のご著書。博士論文をもとにしたものということですが、これはすごいですね。先行研究を整理したうえでの理論的展開、数理的分析、計量分析を行って、さらにラトヴィア・エストニアという非英語圏(ロシア語+現地語?)を対象とした事例…

最近いただいた本

2月はバタバタしてしまうのに、1月くらいには少し空いているように見えて、その結果予定を入れてしまい死にそうになるというのは毎年繰り返されているような気がしますが、この現象はなんていうだろう。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」か。 全然更新できなかっ…

ローカルからの再出発

宣伝ですが、東京大学社会科学研究所の全所的研究プロジェクト、「ガバナンスを問い直す」のローカル・ガバナンス班の研究成果として『ローカルからの再出発−日本と福井のガバナンス』(有斐閣)が出版されました。私も「大都市をめぐる2つのガバナンス─大…

特別区と区長

2014年末に、突然公明党が方針を転換して大阪都構想の法定協議会・協定書に賛成し、住民投票が行われる方向で話が進むことになった。公明党は「住民投票の実施に賛成」であって協定書には賛成ではないとしているのだろうが、彼ら自身も重視していたはずの大…