政党政治とアカウンタビリティ−最近のトレンド?
ずいぶん前から頂いていた本について,まとめて何か書こうと思っていたものの,時間がなかなか取れない上に本が溜まっていくのでやや諦めてとりあえず書籍の紹介を。
まず,3月ころに(もう半年前!)粕谷祐子先生・曽我謙悟先生・大村華子先生から『アカウンタビリティ改革の政治学』を頂いておりました。どうもありがとうございます。アカウンタビリティという,まあなんとも扱いにくい概念(しかしながら政治を考えるうえでの中核的な概念だと思いますが)について,様々な確度から分析されている好著だと思います。僕自身はアカウンタビリティについて,以前も書いたように,どうやって有権者が政治家・政党に責任を取らせるか,ということを中核として考えていますが,本書を読むと,これは「制裁」と強く結びつけている選挙アカウンタビリティに偏った考え方であり,権力分立とも関連する水平アカウンタビリティのような発想があることを学びました。前には「説明責任」という発想にはやや批判的に書いていたのですが,そういう「説明を求める」ことを重視する傾向は日本に限らずに様々な社会で見られるもので,とらえにくいものではあるものの,それが場合によっては政治の発展を促すということなのだと思います。特に本書で「社会アカウンタビリティ」として議論される,必ずしも「制裁」と結びつかないメディアやNGOなどの抗議みたいなものがどのように機能していくのか,というのは(それを厳密に「アカウンタビリティ」という概念のもとで理解するかどうかは別に)政治学にとって重要な議論になっているということでしょう。ちょうど日本でも安保法制をめぐってデモが多発するようになっているわけで,それを「(社会)アカウンタビリティ」と結びつけて議論することも可能なのかもしれません。
- 作者: 高橋百合子
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2015/03/20
- メディア: 単行本
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- 作者: 山崎望,山本圭
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2015/03/23
- メディア: 単行本
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- 作者: 砂原庸介
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2015/03/27
- メディア: 単行本
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- 作者: 待鳥聡史
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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野党とは何か:組織改革と政権交代の比較政治 (MINERVA人文・社会科学叢書)
- 作者: 吉田 徹
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2015/08/10
- メディア: 単行本
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