2013-01-01から1年間の記事一覧

今年の○冊(2013年)

2010年から毎年年末にこのネタを書いてきてますが、2013年版今年の○冊を。2010年にこれを始めたのは、当時なぜか現代日本政治関係の博士論文が続々と出版されていて、それを紹介しようと思ったからです。最近減ったかな、と思ったのですが、やはり今年につい…

特定秘密保護における第三者機関の独立性

現在参議院で議論になっている特定秘密保護法案で、「第三者機関」の設置が議論になっている。法案の修正過程でその設置検討が付則に盛り込まれたということ。 特定秘密保護法案を担当する森雅子少子化相は2日の参院国家安全保障特別委員会で、行政機関の長…

境界を設定すること

ちょっと前に松沢裕作先生の『町村合併が生まれた日本近代』を読んだ。以下これに関連して考えたことをつらつらと備忘のため。本書については、実のところはじめは明治の大合併においてどのような町村合併が行われてきたのかを分析するものだと思ったんだけ…

大阪−大都市は国家を超えるか

宣伝ですが、『大阪−大都市は国家を超えるか』というタイトルで新著を刊行することになりました。ご存知のかたにはすぐにわかることですが、これは、御厨貴先生の『東京−首都は国家を超えるか』を承けて考えたもので、内容を比べられると赤面するしかありま…

水道事業民営化

懸案となっていた大阪市の水道事業が、大阪府との「統合」ではなく「民営化」というかたちで進むことになるらしい。読売新聞の「前途多難の水道事業民営化」という記事がよくまとまっているが、要するに水道事業に関する資産をすべて売却して民間企業が運営…

神戸市長選挙と選挙管理−自書式は止めるべき

神戸市長選挙が終わり、総務省の行政局長経験者が副市長を経て市長になることになった。同じ日に行われた川崎市長選挙でも、比較的年若の総務省元官僚が立候補していて、ともに自公民の相乗りとして擁立され、前回選挙で次点だった候補と競うことになり、こ…

ルポ 虐待

発覚した時から気になっていた事件でもあり、一気に読んでしまった。一応幼い子持ちの父親としてはかなりしんどいところがあり、読後感は相当苦い。事件が報道されている時から被告となった母親−判決が確定しているから受刑者というべきか−を社会的に責める…

大都市制度と地方分権

総務省の地財審(地方財政審議会)の報告書案が出るそうで、それに関してちょっと備忘のためのメモ。報道によれば*1消費増税にあわせて、市町村間の格差を縮めるために、法人住民税の一部を国がいったん集め、地方交付税として税収の少ない自治体に配りなお…

最近頂いた本

異動を挟んでこの間いくつか書籍を頂いていました。まず、国立情報学研究所の小林哲郎先生から『ネット選挙が変える政治と社会』を。どうもありがとうございます。本全体としては、アメリカと韓国の事例を中心に、ネット選挙っていうものがどういうものかに…

異動のご報告

このブログをご覧の方には、既にご承知の方も多いかと思いますが、9月末で大阪市立大学法学研究科を退職し、10月1日付で大阪大学法学研究科に准教授として着任しました。4年半という短い期間でしたが、市大法学部の教職員・学生の皆さんには本当にお世話にな…

『日本の起源』

愛知県立大学の與那覇潤先生から頂きました。どうもありがとうございます。東島誠先生と與那覇さんが対談する形式の著書で、前著の『中国化する日本』をベースに、日本国・日本社会の様々な起源を考える内容となっています。 いやー、それにしても與那覇さん…

消費税 政と官との「十年戦争」

日本経済新聞社の清水真人氏から『消費税』を頂きました。どうもありがとうございます。いや、著者とは面識ないんですが、なぜか今回ご出版にあたって書評を新潮社のPR誌に書いて欲しい、というご依頼を受けまして。普通は断りそうなもんなのですが、一応熱…

マンション管理

お盆の週は東京の妻実家に帰省(寄生!?)中。帰省のために夜中に飲み歩くこともなく、昼間は子どもを連れて出歩いてるのでまあそれなりに健康的な生活ではあるのだけども、子どもと一緒に夕食のあとすぐに寝てしまうことが多くなるのでこれは体に悪いような…

出版ラッシュ

6月から7月にかけてはよくわからないけども出版ラッシュとも言うべきくらいに政治学関係の本が出てました。まあ単純に普段が少ないから多いのが目立ったということなのかもしれませんが。その中で結構たくさん本を頂いていたのですが、読むのに時間がかかっ…

経済書・政治書ベスト30

東洋経済の毎年恒例となってきた企画です(ベストいくつ、というのは揺れがあるような気がするけど)。今年は私も東洋経済に連載を書かせていただいていることもあり、あわせて6冊ほど推薦させて頂きました。…しかし、コメントを採用して頂いた細谷先生の『…

謎の独立国家ソマリランド

これはもう脱帽ですね、まじめに感動しました。たぶん今年かここ数年のベストです。 話は非常に単純で、「未知」が大好きな著者が、アフリカの角にあるソマリアに行く話です。ソマリアは長年の内戦で政府がほとんど機能せず「経済学の実験」と呼ばれたりする…

参院選マニフェスト−地方分権

他の色々な方に習って、地方分権に絞って各政党のマニフェストを確認してみました。一応参議院の議席順に並べています。 民主党 地域主権改革 ●義務付け・枠付けの見直し、地方自治体への権限・財源移譲、一括交付金の復活、国の出先機関の原則廃止に取り組…

少子化論

最近ブログがいただきもの記録にしかなってないので月に二回くらいは書きたいと思いつつ6月は失敗。先月のいただきものは重くて整理できていないので、とりあえずちょっと前に読んだこの『少子化論』を紹介したい。 少子化関係の書籍は多いが、研究書として…

先月のいただきもの

またまた浅羽祐樹先生から『北東アジアの市民社会―投企と紐帯』を頂きました。なんか毎月浅羽先生にご登場頂いているような…。最近はNHK Newswebにも出演されて、ますますご活躍の幅を広げられていて眩しい限りです。テレビは本当に大変だと思いますが、研究…

パラグラフ・ライティング(特に市大生向け)

文書の書き方本のようなものを個人的に勧めることはほとんどやったことがないのだが、この本『論理が伝わる世界標準の「書く技術」−「パラグラフ・ライティング」入門』(講談社ブルーバックス)は、学生のみなさんにぜひ読んで頂きたい。例年のゼミ、それか…

岐阜

連休中に突然思い立って養老天命反転地へ。養老公園の中に設置されている施設なわけですが、養老公園は養老天命反転地以外にも岐阜こどもの国をはじめとした大きな公園になっていたので、結局連休最後の二日間はここへ。まあ家からそこそこ時間がかかるわけ…

山口県立大学の浅羽祐樹先生に、『星座としての国際文化学』をいただきました。以前にも学部での教育の成果をまとめたものを頂きましたが、このように学部教育の成果を定期的にまとめられるのはすごいですね。ていうか、最近[いただきもの]で毎回浅羽先生…

Boundary Control

本書は、副題がSubnational Authoritarianism in Federal Democraciesとなっていて、まさにテーマはこの通り。主題であるBoundary Controlは、要するに地方で独占的な権力を持つ政府が、いかにして自分たちと他の政府(基本的に中央政府)との境界線をコント…

鳥取

鳥取自動車道が3月23日に全線開通したので鳥取に行ってみた。中国自動車道で佐用JCTから鳥取自動車道に乗って向かえば、大阪から2時間半もかからないくらいで鳥取まで行くことができる。鳥取自動車道開通の話は、ゼミの学生さんが論文のテーマに選んでいたこ…

3月ころのいただきもの

年度末で出版ラッシュ?なのか、いろいろといただきものがありました。どうもありがとうございます。 まず浅羽祐樹先生から、『したたかな韓国―朴槿恵(パク・クネ)時代の戦略を探る』を頂きました。浅羽先生は去年の頭に翻訳を出されて、年末に共著本、そし…

保育と政治

少し前に、杉並区で認可保育園に入れなかった幼児を持つ母親たちがデモを行った(いわゆる「保活デモ」)というニュースを見て、何らかのかたちでまとめておきたいと思いつつ、問題が多岐にわたりすぎるので全然進まないのだが、少し時間がとれたので一応現…

選挙とガバナンスなど

最近どうもブログが月記化していて、とりあえずひと月に一回くらいは書こうと思いつつもうまくいかないです。特に前回のエントリみたいに非常に長いものを書くと、次に何を書くか考えてしまってなかなか進まない*1。というわけで、書こう書こうと思っていた…

地方公務員給与削減

2013年度の予算が閣議決定されて、来年度の地方公務員の給与が削減されることになったようです。ツイッターでぼそぼそと呟いていたのですが、話が面倒で混乱しやすいので、こちらにまとめておこうと。私自身の生活にも影響はある可能性は高いですし(←変な表…

『旧体制と大革命』あるいは古典を読むこと

昨年末の某研究会で、松井望先生に拙著を書評して頂く機会があり、「大阪の中に大阪を越えるものを見た」「大阪維新という「革命」以前から続く論理構造の抽出」というトクヴィルを踏まえたご感想を頂きまして*1、まあもちろん今回の大阪の話がそんな世界史…