文書の書き方本のようなものを個人的に勧めることはほとんどやったことがないのだが、この本『論理が伝わる世界標準の「書く技術」−「パラグラフ・ライティング」入門』(講談社ブルーバックス)は、学生のみなさんにぜひ読んで頂きたい。例年のゼミ、それから特に去年の基礎演習では意図的にパラグラフ・ライティングによって文書を構成するということを意識してレポート・ゼミ論文の書き方を指導してきた(つもり)だが、私自身が欧米でパラグラフ・ライティングの指導を受けてきたわけではないので手探りで演習をしている感じがあった。うまく表現している簡単な本があればいいなあ、と思っていたのだけども、この本は完全にその役割を果たしていると思われる。
- 作者: 倉島保美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/11/21
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
著者は本書全編も「パラグラフ・ライティング」で構成していて、まあ無理してる感じのところもあるんだけど、だがそれがいいw 実際の論文のような文書では、本書でいうような「パラグラフ・ライティング」とはやや違うような書き方がされることが全くないわけではないが、それもこのような「パラグラフ・ライティング」が基本にあってこそ、という話である*2。その基本を自ら実践しているところは素晴らしい*3。また、折々で用意されている練習問題も理解を助けるものになっているといえるのではないか。
この本をきちんと消化した上でレポートやゼミ論文を書くというのは大学生活の中でひとつの重要な達成になると思う。大学院生で、「論理的じゃない」とか指導教員に言われてしまう方にとっても良いヒントになるんじゃないだろうか。もちろん、私の授業でレポートやテストを課しているとき、本書に忠実なかたちで文書を書いてきた答案については高く評価されることになるのは間違いない。