河村和徳先生に,『市町村合併をめぐる政治意識と地方選挙』を頂きました。ありがとうございます。
合併ネタは,本当に事例が多様で読んでいてあきないところです。これからたくさんの研究が出ることになると思いますが(僕もやるかもしれませんし),そのキックオフとなる研究のひとつとなるのかな,と思います。
個人的には,5章の住民投票のあたりが特に興味深かったです。これは事例ではありませんが,住民投票がイニシアティブとしての性格と,レファレンダムとしての性格を持つという指摘は,今後合併に限らず地方自治体の政策決定についての理論化を進めていくときにも重要になってくるのかなぁ,と。以前Tsebelisがレファレンダムの存在をVeto Playerとして位置づけていたことを思い出しましたが,首長や地方議会が,レファレンダムをかけることが脅しとして機能するのであれば,選択されるWinsetも変わってくることになるのかもしれません。もちろん,住民の意思の読み違いということもありうるでしょうが,成立条件を厳しくすれば,よりStatus Quoに近い決定をする手段として,いま持たれているような地方議会が住民投票を嫌う,というようなイメージとは逆に,地方議会が積極的に使ってくることも増えるような気がします。
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