気にはなるものの。

うーん,よくわからない,という話。

総務省行政不服審査制度検討会(座長・小早川光郎東大教授)は17日、同制度の抜本的な改正に向けた最終報告を公表した。審査請求から裁決までの「標準審理期間」を定めるとともに、複雑な事案などでは事前に争点・証拠を整理して、審理を迅速化することを盛り込んだ。
さらに、不服申し立ての対象となった原処分の手続きに関与していない「審理員」による審理を原則とし、一定の重要案件は第三者機関に諮問することなどにより、審理の公正さを確保する。また、法令に根拠があるなど一定の行政指導に関し、「是正の申し出」の制度を行政手続法に新設するとしている。
2007年7月17日 読売新聞
行政不服審査の抜本改正、標準審理期間を設定…検討会報告

総務省のページを見てみると,検討会の最終報告に近い状態(たぶん)の案がアップされていて,気になるので軽く眺めてみるものの,ちょっと眠い頭で軽く眺めたところでわけわかるわけもなく。大事そうな話としては,不服申し立ての中で「異議申し立て」しかできない場合と,(上級庁がある場合に)上級庁に「審査請求」もできる場合が混在してて,一般には上級庁なんて概念はわかりにくいから一本化しましょ,っていう話かと。で,そのときになるべく処分を行った当事者から独立した「審理者」がその審理をやったほうがいいよね,ということになるのかなぁ,と思うわけですが。まあいずれにせよ,行政裁判所のように超越的な組織を作るわけではなくて,ある行政庁のライン,というか管轄の中で(いやもちろん「審理官」は「ライン」から独立してることになってるわけですが)審理が行われる,と。
行政裁判所は検討されてもいい話ではないかと思うところではあるものの,現状では国と地方の問題もあって余りにややこしすぎるからさしあたりは止めといた方がいいと思うわけですが,今回の制度改正では審理の独立性というか公正性というか,まあもともとの処分からは独立して審理してますよ,ということを担保するために,一次的な裁決の当不当を判断できる行政不服審査会(仮)というのを置くことにする,と。最終報告の案としては以下の通り。

第8章 行政不服審査
1 国における行政不服審査
この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項を調査審議するため,各府省の分野を横断して審理する統一的な合議制の機関として,優れた識見を有する委員で組織される行政不服審査会を置く。
地方公共団体における行政不服審査
この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項を調査審議するため,地方公共団体は,条例で定めるところにより,優れた識見を有する委員で組織される行政不服審査会を置く。

「各府省の分野を横断して審理する統一的な合議制の機関」を作るものの,分担管理原則があるので裁決機関とはしない,ということなので,国家行政組織法の8条機関を作るのかなぁ,というところなのですが,仮にこういう省庁横断的な機関を総務省に作ることになった場合,特にその事務局の定員関係の組織財源っていうのは総務省の中で調達することになるんだろうか。これまで各省庁が持ってた行政不服審査関連の部署をそのままにするのか,って問題もありそうだけど。あるいは政策評価独立行政法人評価委員会みたいな感じで行政評価局が事務局をやって…みたいな感じになるのかなぁ。まあそれはそれでわからんでもないところですが,ただそうすると郵政とか情報通信まで持ってる総務省の役割というか位置づけがますますわからなくなってくるような…。いや,僕みたいな組織に入ってない(入れてない)のには組織ネタは難しい。
ただ地方はますますよくわかんないよなあ。小さい地方団体は場合によっては複数の団体が連合して,っていう話もあるんだけども,その場合にどういった根拠で例えば市町村が審査庁として行った判断をひっくり返すんだろうか。国−都道府県−市町村で全部上下関係を切ってしまってるわけだから,(仮にいくつかの市町村が連合したとしても)市町村の上に超越的な機関を作るのはどうなんだろ。そのなんかしらの連合に主権みたいなもののの一部を譲っちゃう,っていうことになるのだろうか…うむむ。よくわからん。