工程表

最近分権委の会合がないのでそのうちに見なくてはと思いつつ,まあまだいいやと思ってほっといたらいつの間にか3月も下旬に入りそう。そろそろやらなくては。
もう随分前のような気がする分権委・二次勧告を受けた政府の工程表作りが月末に向けて大詰めに入っている模様ですが,かなり難航している感じ。

「地方振興局」明記せず 鳩山総務相
鳩山邦夫総務相は17日の参院総務委員会で、政府の地方分権改革推進委員会が勧告した国の出先機関の「地方振興局」「地方工務局」への統合案について、政府が月内に示す出先機関改革の工程表には明記しない方針を表明した。総務相は「与野党で大議論が必要」と強調した。振興局設置などの具体策は、今秋にも政府がまとめる出先機関の改革大綱に向け検討を続ける。自民党礒崎陽輔氏への答弁。
3月17日 日本経済新聞

大議論が必要なのはそのとおりかというところですが,実際どうやってするんだろう…。以前は国会議員も入っている地制調でやっていたわけですが(特に1960年の第4次地制調で道州案*1),状況的に地制調で国会議員も混みで議論してねという感じではないでしょうし。国会の委員会(特別委員会か?)で議論するのはある筋が通ってるのでしょうが,そこで議論するにしてもなんか叩き台になるような案が必要ではないかと思ったり。分権委で設定されたアジェンダを受けて政府が設定するアジェンダであるところの工程表に載らない中で,この改革がどのように扱われることになるのかというのは政治過程で注目するところかな,と。
もうひとつ議論になっているのは35000人という数字が出た「スリム化目標」というヤツですが,これについても現状はなかなか厳しいようで。時事通信の官庁速報を読んでいると,分権委としては「『ここで後退するわけにはいかない』」(丹羽宇一郎委員長)と職員削減の数値目標を工程表に明記するよう訴えている。ただ,勧告内容には関係省庁だけでなく,与党内にも慎重な対応を求める声が根強くあり,調整は難航しそうだ。」とのこと。2008年12月16日の「決議」をめぐって揉めた経緯を考えると,確かに「後退するわけにはいかない」ということになるのだと思いますが…。
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鈴木亘先生のブログによると,昨日くらいから始まった「経済危機克服のための有識者会合」も,その模様をインターネットで配信しているらしい(資料動画)。ただこれは分権委のような審議会形式の会合というより,「有識者」が総理はじめ閣僚にバラバラにご進講している感じ。しかしそれにしても「有識者」間の整合性なんて当然あるわけでもないし,ホントに短い時間で「こんな考え方もありますよ」っていうのはどうなのか。面白いと閣僚が思ったものを採用するときに「有識者」を引っ張ってくるという話なのかなぁ。ただ興味深いのは,今後の会合。鈴木先生も厳しいコメントを書かれているように,これくらい明らかなかたちで「有識者」=場合によっては「利益団体の代表」が意見を述べる映像って言うのはこれまでほとんど出されてこなかったということで,これはたぶん利益団体研究の資料としても貴重なのではないかな,と。

*1:詳しい議論については,佐藤俊一[2006]『日本広域行政の研究―理論・歴史・実態』成文堂,答申の内容については,地方制度調査会・自治省[1979]『地方制度調査会答申集〈第1次〜第17次〉』。

日本広域行政の研究―理論・歴史・実態

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