一括交付金

「5月末」を予告した普天間が迷走しており,今国会の目玉のひとつでもあった「地域主権改革」関連法案も厳しい状況になっていて,もはや民主党政権が「地域主権改革」をできるのかについては暗雲がたれこめているようです。しかし,一応地域主権戦略会議も地方行財政検討会議も続いているようです。相変わらず中身の議論はよくわからないとこですが。
まず,5月24日に第4回の会議が行われた地方行財政検討会議。実はその前の5月19日には,この会議の第一分科会と第二分科会の合同会議が行われているわけですが,その内容については議事録も何も出ていないので全くわかりません。まあ基本的には六団体からのヒアリングということでしょう。おそらくこの日のヒアリングを受けて,地方行財政検討会議の第4回の会議では,早くも基本的な考え方(案)が出てきます。このうち,第一分科会ではこのブログでもしばしば触れている,ホームルールの問題についての議論がなされていて,地方議会における選挙制度の問題点や,議員のあり方(専門家かボランティアかなど)についても踏み込んだ表現になっています。また第二分科会では,監査委員制度の問題点を指摘しているほか,会計制度については発生主義の導入が重要な論点として取り上げられています。要するに,国会議員や地方議員もいた第29次地制調の延長で同じトピックを扱ってはいるものの,内容についてはおそらく国会議員や地方議員もいたならば反対しているようなところまで書いている,という印象。まあ議員を外して専門家で,という以上そういう方向性だったのだと思いますが。
一方,地域主権戦略会議も同じ日(5月24日)に開かれます。この日は朝から出先機関に関する公開討議をやっていたはずで,その直後の18時から本会合というのは非常に大変。関係者の方々にはとてもお疲れなのかと思うところです(事務局としては地方行財政検討会議の関係もあるでしょうし)。ここの議事要旨は正直なところ内容が取りにくいものですが,議事要旨の中に「一括交付金に関しては、神野試案をそのままこの場で決めても良いのではないか。この場で決めるだけの内容が盛り込まれているのではないか。」「一括交付金化について、提示された試案の内容は理にかなっているのではないかという発言があった。異論がなければ、今後、神野私案を基に関係各府省に意見照会した上で、更に詳細な制度設計に入っていきたい。」というような発言まであり,ある程度煮詰まっているような感じもします。しかし,この試案をみるだけでは正直なところよくわからないところが多いかな,と。最後のポンチ絵をみながら考えてみると,(1)現行の補助金交付金が対象,「ひも付き」の排除,(2)経常については大くくりの配分,投資は早期に一本化,ということ。まあそれだけ見ると全く分からないわけでもないのですが,それでも特に位置づけがよく分からないのは地方交付税とその関係。ここで述べられている「交付金」が「地方交付税交付金」を含むのか,というのは非常に重要な論点にもなると思いますが,「試案」の中では交付税についてほとんど何も触れていない。第3回・第4回の議論,特に橋下知事発言を見ていると,「一括交付金」の機能はもろに現行の交付税とだぶってくるような気がするのですが。特に重要なのは,今回「一括交付金」にかからないとされた社会保険関係のようなところについて,国がちゃんと100%負担するのか,という「一括金」の外の制度。もしそうでなければ,「一括交付金」や交付税?あるいは地方税などから不足分を補填しないといけないわけで,たぶんさらに交付税が重要になってしまう,という話ではないだろうかと思われます。とはいえ,上述のように提案を評価する声もあるわけで,ひょっとすると説明の中では現行交付税との関係のようなものもすっきり議論されているのかもしれません。まあいずれにしても,議事録の公開待ち,というところでしょうか。