公法学と政治学

図書館に本を返すのをすっかり忘れていたので慌てて返却に行く。せっかくなので、家にいるおかげでご無沙汰になってしまったいくつかの雑誌をチェック。最近なぜか論座社会学系の友人・知人がボチボチと発表していて、「うーん。総合雑誌に書くような年になったのね」なんて思ってたら、中央公論にも同世代の研究者が単著で出してた。個人的にはいい論文であれば査読誌に出して欲しいところではあるのですが(せっかく学会費払ってるんだし…)、まあ何も書かないよりも同世代の人が色々なところで発信するのは刺激になって好ましい。しかし、論座って学部図書館にはなかったのね…マイナーな方の図書館にはあるということなのですが、結局今日はチェックできず。
ついでにジュリストで関係ありそうな特集「議会制民主主義の行方」が載ってる号を手にとって見る。普段ジュリストといえば、論文のネタを整理するときに使うもんであって、あんまり目的なくジュリストを手に取ることがなかったので、ちょっと興味深い。でも、少し驚いたのはその特集で議論されてることは、最近の政治学でTsebelisとかが議論してることとあんまり変わんないじゃん、っていうこと。ただ、当然?政治学者の論文は全く引用されず*1。レイプハルト…っていいけどちょっと古いし。
例えば二院制の話であれば、日本政治の国会研究だってあるのにな、と思うし、首相の大統領化についてだって、日本では社研の上神さんが実証研究してるし、ヨーロッパの政治学者だっていっぱい書いてるし。政治学でも他の分野からの研究ってのはあんまり引用したりしないのかもしれないけど、それにしても徹底してるなぁ…とちょっと思う。やってるところはほとんど変わらないので、もう少し研究の交流があってもいいのではないかと。ただその号では法学者(だと思う)に混じって唯一首大の今井さんが論文を載せていたので、今後は交流が増えていくのを期待したいところです。そういえば、ちょっと前に内閣府の官僚の友人とトヨタ財団に共同研究を出してみようとしたときに、「最近の日本政治の問題に興味がある若い公法学者の友人が欲しいね」って話をしてたのを思い出す。
ただ、(公)法学の論文を読んでると、やっぱり(公)法学者っていうのは仮説検証のようなかたちの実証研究には基本的に興味ないのかなぁ、という感想は抱かざるを得ない(当然事実の解釈はするんだけど)。*2ていうか、Argumentを立てるのが難しいんだろうなぁ、と。基本的に解説か歴史的展開を追っかける、という話になっていて(だからこそリサーチの初期に大量に読むんだけど)、ちょっと物足りなさを感じてしまうのも事実。まあそれはジュリストくらいの雑誌だからであって、僕が読まないような専門雑誌だとぜんぜん違うのかもしれないけど。

*1:しかし久しぶりに組織論ぽいルーマンの議論が引用されていたので思わず読んでしまった…

*2:別に仮説検証が全てだ、といいたいわけではないし、そもそも僕ら社会科学をやってる人間が本当のところ仮説検証をできてるのか!?と問い詰める人がいたっておかしくない