アイデンティティ

破綻の話を見ながら,ふと,ちょっと前に組織論の先生と議論した,「行政学者」のアイデンティティはこれからどの辺りに置かれるのだろうか,という話を考えてみる。現状を見ていると,ひとつは組織論のほうに近づいて,組織論の中で特に「公的組織」を扱うようなかたちになるのはあるんじゃないか(NPMとか?)。あとは,財政学と合流して,財政制度を中心とした議論を行うようになる人が増える可能性は高い。最後は昔から言われているような政治学化,あるいは行政法学化というか,政治学行政法学との区別がほとんどないような状態,というのが考えられるのではないか。まあ行政の実践,のようなものを文化人類学社会学的にリサーチすることも可能かもしれない。
まあわれながら悲しくなるぐらいにベタな分類ですが。ただ,組織論のようにガバナンスの話をすることが多くなってきたし,破綻の話なんて財政・会計・法律が組み合った複雑な話だし。こういう話を「行政学」の中で閉じてやってもこれから先はちょっと限界があるのかもしれない,と思わないでもない。まあそれは,きっと財政学とか会計学にしても同じ話だろう。そのたびにいちいち「〜〜学」(自治体破綻学?)を作るのもよくわからないコストがかかりそうだし,やっぱりどうやって共通のアリーナを作るか,って話になっていくんだろうか。そのときに「行政学者」にしかないものとして求められる専門知識は…今のところ僕は正直よくわからないですが,これから考えないわけには行かないんだろうな。