追記×2

まずはこの日に追記。地方分権改革推進法案が10月27日に閣議決定されたとのこと。概要とか要綱を読む限り,基本的に分権/権限委譲を行う,ということ以外にはよくわからない。ただ,三位一体という表現が消えて,「国庫補助負担金,地方交付税,国と地方の税源配分等の財政上の措置の在り方について」という表現に変わっている。やはり,これは政権交代によって独自色を出そうとする(というか前首相の色を消す)戦略なのだろうか。
しかし,分権/権限委譲という言葉は必ずしも本質を表さず,何でもかんでも地方に,というわけにはいかないことは間違いない。例えば,この
知事会の提案
でも,生活保護制度は国の制度として考えるべきで…というのが前提となっている。この提案は,有期の生活保障というところが強調されがちになっていくんだろうと思うけど,対象の性質によって扶助の仕方を変えるべきだという主張こそが一番重要なところで,「有期」という議論になりがちなところを入れてしまうと,いろいろな論争?に巻き込まれて本質とズレてしまいそうな気がしてちょっと心配。
「メタ」な制度と,「ベタ」な政策の議論を一緒にやらなくてはならない,というのは非常に難しい。もしも,「国と地方の(立法)協議の場」というものが存在して,地方に関係する政策については国と地方が議論した上で決定する,という制度が存在するのであれば,こういう提案は,そっちの過程に乗っければいい話だと思う。でも,そういう制度がなくて,しかも「分権/権限委譲」という「流れ」が先行していると,メタな制度のほうで「分権」を盾にして戦いながら,ベタな政策のほうでは「集権」に見える提案をしなくてはいけない(そういえば教育もそうか)。きっとこういう場面はこれからもたくさん出てくるだろうから,「地方」の側がこの提案を戦術的にどういう風に生かすのか,をちょっと見てみたいところ。

はじめの追記が思わず長くなったので,もう一つは簡単に。
社会保険庁改革について,幹事長が社会保険庁国税庁の合併に加えて,一般の年金業務を扱う非公務員型と強制徴収を担う公務員型の二つの組織に「分割」させる議論をしたらしい。それに関して官庁速報の記事で,こんな一節が。

中川氏と社保庁問題を協議した同党厚労族のドン、丹羽雄哉総務会長は「大筋で意見は一致していたが…」と微妙な言い回し。丹羽氏は、強制徴収部門の国税庁移管に関し、「社会保険方式による社会保障制度が税方式に傾いてしまうのではないか」との懸念を示したという。

そのココロは「範囲の経済が効き過ぎるから」なのだろうか。執行が企画に影響を及ぼす,という議論はあんまり聞かないけど,ちょっとよくわからない。もしも,社会保険方式には強制徴収がなじまないという意味だとしたら,何かちょっとどうかと思うけど。ただ,よく言われるように,国税社会保険では相手にする層が違うので,国税庁と雖も強制徴収には結構苦労するんじゃないだろうか。