なんか研究が煮詰まってくると,どうも社会史みたいな感じの本が読みたくなって,そういう時にはよく佐藤卓己先生の本を手に取るのですが,この「メディア社会」は新聞の時評欄みたいなところを集めたもので,もちろん面白いところと面白くないところがあるわけですが,僕自身も研究対象にするような政治的な営みについて,たまにぜんぜん気がつかないような解釈がなされているところがやはりスゴイ。もちろん,他の本よりそういう発見の確率高いだろうし。
「メディアの現在をどう見るか」としてまとめられた時評は割りと長めのものが多くてうなずかされるものも多かったのですが,その中で「スミス都へ行くMr. Smith goes to Washington」という映画の紹介に関するものに興味を惹かれたので,DVDを借りて観てみる。1939年の映画で,話自体は非常に単純だけど,確かに非常に面白い。クライマックスでは「黒幕が世論を作る」様子が戯画的に描かれていて,インターネットがある時代からは隔絶しているように見えるけれども,実はインターネットの記事だって大手のメディアや検索サイトなしにはうまくたどり着けないということを考えたら,現代の文脈に置き換えても十分鑑賞に堪えるんじゃないだろうか(最近の映画・ドラマはメディアコンプレックスで行われるから実際は難しいんだろうけど)。僕が一番興味を覚えたのは,このお話は上院議長の「良心」がないと成立しないんだろう,というところでしたが,たぶんいろいろな見方を許すところがひとつの魅力なんでしょう。
まあどうでもいいのですが,Wikipediaを見る限り,フィリバスターって場合によっては議員の特別過半数で止められるし(まああの映画の場合議長が止めることはないでしょうが),ホントはトイレにも行っちゃだめ,という話(オムツすればいいのか)もあったりするらしいですが。
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