道州制調査会

自民党道州制調査会が6月にまとめる予定の中間報告の素案が明らかになったそうです。5月10日に自民党道州制調査会の「道州と国の役割分担に関する小委員会」の「道州制に関する基本的な考え方」が出されているのですが,日経の紙面を読む限りはこれが基本線なのかなぁ,と。

自民党道州制調査会(杉浦正健会長)が6月にまとめる中間報告の素案が12日明らかになった。国の補助事業と出先機関を道州に移管することを原則に国・道州・基礎自治体の役割分担を規定。高速道路や空港、港湾など社会資本整備の地方移管を明記し、九州で道州制を先行実施することや、東京23区を国直轄として税収の一部を地方に配分する構想も盛り込んだ。

インフラ整備、地方移管を明記・自民調査会が中間報告素案
日経新聞の紙面の方を見ると,素案の方はこうなってます。

自民は現在の47都道府県を再編し国から地方に権限を移す道州制推進を参院選マニフェストに盛り込む方針。調査会は16日の総会で五つの小委員会の議論を集約,中間報告の取りまとめに入る。
素案によると,地方自治体は同州と基礎的自治体の二層構造とする。国の権限は外交・防衛,通貨・金融政策などに限定。新幹線と国家プロジェクトを除くインフラ整備の権限は道州と基礎自治体に移す。

道州制に関する基本的な考え方」は,

  1. 国庫補助事業は道州に移管する
  2. 国の地方支分部局は,道州に移管する
  3. 国が制度の基本・基準を定める場合であっても,その実施主体は道州または基礎的自治体とする

という三原則をもとにしてまとめられたとのことで,そのイメージは絵の通りということ。いまのところイメージ図を見る限り,相変わらずピラミッドになってるみたいだし,「国が制度の基本・基準を定める場合であっても」ということなんで,(当然ですが)連邦制を志向しているわけではなく,まあ要するに都道府県合併ということでしょう。そうなるとあとはどの程度規律密度を緩めることができるか,という話でしか進まないように思いますが。
ただ問題は,再分配関連の事務が基礎的自治体へ,ということになっているわけで,その執行について基礎的自治体が行うのはいいとして,財源の責任をどうするのか,というところでしょう。日経の記事を見る限りでは,

二段階で国から地方へ税源を写す税財源改革も盛り込んだ。第一段階は社会保障や義務教育に充てるシビル・ミニマム交付金を創設。所得税相続税などを地方に移転する。第二段階では交付金や道州間の財政調整システムを廃止し,同州の財政的な自立をめざす。東京都を国直轄として税収を各道州に配分する構想も盛り込んだ。

ということなのですが,別に第二段階いらないじゃん,というのは気のせいでしょうか(東京都の話が第二段階なのかどうかは不明)。てか逆に財政調整システムがない先進国ってあんのか…?まあアメリカはないっちゃないでしょうが,メディケイドとかは連邦財源が入ってるわけで。

しかし道州制関係はなんだかいろんな懇談会とか研究会が多い。これは自民党道州制調査会ですが,たぶん今大きなところで動いてるのは内閣官房道州制ビジョン懇談会と地方六団体関係くらいでしょうが,終わったものでは総務省のビジョン懇とか地制調も前回そうだったし。整理するとき大変だろうなぁ…と思うのですが。