◎川辺川ダムを事実上容認=熊本県球磨川水系の治水方針−国交省
国土交通省は11日付で、熊本県の球磨川水系の治水の方向を定める河川整備基本方針を策定した。同水系には建設をめぐり賛否が分かれている川辺川ダムの建設予定地が含まれるが、基本方針は「流域内の洪水調節施設により洪水調節を行う」などとして、同ダムの必要性を事実上容認する形となっている。
5月11日時事通信
結局容認ということで。川辺川ダムは直轄事業なので,基本的に国土交通省−九州地方整備局のラインで意思決定を行うことになります。id:sunaharay:20070209:p1の「脱「脱ダム」」では,大きい補助事業について知事が変わるたびにころころと決定される意思が変わるのが問題だ,という議論を書きましたが,逆に中央政府のほうがこういう事業を持っていると今度はあまりにもかわらなすぎる,という問題が出てきます。特に川辺川ダムくらいに話がこじれてくると第三者的にはちょっと考え直した方がいいのではないか,と思ってしまいますが,たぶんここで見直しをすると,やはりこれまでの批判を受け容れた形になってしまうことが認められないのではないかと。大きい事業については中央レベル(あるいは道州レベル)で「政治的に」決めることで見直しの契機が生まれるとは思いますが,(地域性が強くて)全国選挙で争うことが難しいので,結局行政主導になる結果,これまでやってきた事業の失敗を認めることが難しくなるように思われます。そういう意味ではやはり2000年の与党三党による公共事業見直しのときには,「公共事業の非効率性」が全国的な争点になって前回選挙で自民党が負けた,っていうきっかけが重要だったんだろうなぁ,と。しかしこれを個別事業でやるのはやはり難しい。
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