質問主意書

2008年になってしまいました。今年で任期切れなので,今年はまさに正念場になりそうです。ということで,年末年始は論文に取り組んでいたものの,度重なる修正をしているうちに最近やや迷走中です…。ともかく,今年もよろしくお願いいたします。
さて,最近たまに目を通している質問主意書で,極めて興味深いものがあったので,経過をじっと見ていたところ,今日どうやら答弁が入っていました。
質問名「若手研究者の就職難と待遇に関する質問主意書」の経過情報
いやいや,なんというか余りにストライク過ぎてちょっとびっくりしたのですが…。まあこれを読む限り,なんとも木で鼻をくくったような答弁で,質問主意書を意味のあるものにするためには,データを要求するくらいしかないんだなぁ,と改めて実感です。以下,ちょっとだけ抜書き。

(質問)
一 若手研究者問題における政府の責任について
 1 第三期科学技術基本計画(以下、基本計画)は、「モノから人へ」をキーワードに「優れた人材を育て活躍させることに着目して投資する考え方に重点を移す」とし、とくに、若手研究者に対しては「意欲と能力を発揮できるよう根本的な対応に取り組む」とした。
  ならば、いま「高学歴難民」「高学歴ワーキングプア」といわれるなど社会問題化した若手研究者の就職難と劣悪な待遇を解決することこそ、基本計画の目標達成のためにも不可欠と考えるが、いかがか。
 2 一九九一年に大学院生数の倍加を打ち出した大学審議会においても、大学院の教育課程や研究指導のあり方、教育費や施設・設備、規模、大学院生の経済的問題など、大学院がかかえる問題が指摘され、質的な面での抜本的な充実と改革をともなわないままに量的な拡大が進むならば、危機的な状況になることは危惧されていた。
  今日問題となっている若手研究者の就職難と劣悪な待遇は、政府が、大学院生の量的な拡大にみあって、修了者の処遇をふくむ、大学院の質的な面での抜本的な充実と改革への支援を怠ってきたことにあると考えるが、いかがか。

(回答)
一の1について
 文部科学省としては、科学技術基本計画(平成十八年三月二十八日閣議決定)を踏まえ、平成十八年度から、博士の学位を授与された者又は博士課程に標準修業年限以上在学して所定の単位を修得した上退学した者のうち、大学又は研究機関において任期付きで研究業務に従事しているもの(教授、准教授、講師、助教、主任研究員等の職にある者を除く。以下「ポストドクター等」という。)による大学の研究職以外の進路も含めた多様な職業選択を支援するための取組を実施するとともに、大学又は研究機関において、若手研究者が任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積み、厳格な審査を経て助教等のより安定的な職を得る仕組みを導入することを奨励するなどしているところである。
一の2について
 文部科学省としては、大学院について、平成三年度以降、大学院学生数の拡大を図るとともに、一の1についてで述べた施策のほか、特に卓越した教育研究実績をあげることが期待される大学院等に対する重点的な財政支援、若手研究者に対する研究奨励金の支給、競争的資金を活用した大学による博士課程(後期)在学者の研究補助者等としての雇用促進等を推進しているところである。

最終的に博士課程に進む決断をしているのは自分たちなので,いまさら「政府の責任」でもないということなのでしょうが,ただこのあたりどう考えているのかなぁ,ということが公式に示されるのはよいことだと思います。まあ要するに現状を特に変えるつもりはないよ,ってことなんでしょうが。
ちなみに,就職の現状については,

(回答)
文部科学省が実施した「平成十八年度学校基本調査」によれば、平成十七年度に博士の学位を授与された者又は博士課程に標準修業年限以上在学して所定の単位を修得した上退学した者の数は、15973人であり、そのうち、進学者は90人、就職者は9167人である。

ということで,毎年6000人ちょっと溜まっていく勘定になるそうです。ここでいう「就職」がどのくらいのものを意味しているのかはちょっと不明ですが…。いやはやどうなることやら(新年早々景気の悪い話ですみません)。