教科書+α

この間いくつか本をご恵贈いただいておりました。3つとも,「教科書」のような,でも今までの教科書とはちょっと違うところを目指しているような本ではないかと思います。
まず,ずいぶん遅くなってしまったのですが,伊藤修一郎先生から『政策リサーチ入門』をいただいておりました。副題で「仮説検証による問題解決の技法」とあるように,特に「政策」を考えるに当たっての仮説検証というところに重点を置いた解説が行われています。対象は政策を勉強する学部あるいは大学院のゼミ,それから実務家が中心ということで,まさにその対象にとってうってつけなのかな,と。こういうものは,だいたい「社会科学方法論」とか統計的な話が中心になりがちですが,この本では,問題や仮説の立て方といった内容や,文献の調べ方,リサーチの発表の仕方といったようなところにかなりの分量が割かれていて,方法論をじっくり勉強できるような学部3年くらいのゼミとか,大学院の一年目なんかでぜひ使いたいなあと思うものです。

政策リサーチ入門―仮説検証による問題解決の技法

政策リサーチ入門―仮説検証による問題解決の技法

次は,河村和徳先生から『新版 アクセス日本政治論』をいただいておりました。こちらは,旧版のアップデートということですが,何より執筆陣が中堅・若手の研究者を中心に非常に豪華なところがポイントかと。最近現代日本政治を対象とした実証的な分析はどんどん増えているわけですが,よく考えるとそれをまとめたものってなかなかありません。『政治学』みたいな教科書だと,どうしても伝統的な政治理論ものから,最近の議論といっても欧米である程度知見がまとまったものが紹介されるところあたりになっていて,実証研究をまとめて紹介する,というのはないのかな,と。そういう意味でも関連するサーベイの一番初めに読むのにもよいかもしれません。
アクセス日本政治論

アクセス日本政治論

もうひとつ,Twitterでいつもいろいろと教えていただいている,與那覇潤先生から『「中国化」する日本』を頂きました。残念ながらまだお会いしたことがなく,仕事が一段落したら買って読んでみようと思っていたところ,思いがけず頂くことができて驚きました。内容は非常に刺激的な日本の通史となっています。まだ全部読めていませんが,色々と考えさせられるところがあります。しかしこれで既に三冊目とは…たぶん年齢だけでは私の方がひとつ上だと思うのですが,まさに自分が馬齢を重ねてることを感じさせられます。
中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史