扶養控除

何か最近ブログを書き始めるとわりと毎日書こうとするのに,やめるとピタっと止まる…。なんでだろう。まあ今日は時事通信の記事から。

住民税の扶養控除も廃止へ=たばこ、小幅増税で一致
政府税制調査会(税調)は3日、藤井裕久財務相ら幹部による企画委員会を開き、扶養控除見直しやたばこ税について協議した。控除については、所得税の扶養控除に加え、住民税(地方税)の扶養控除も廃止する方向で一致。たばこ税は1本2〜3円程度の小幅増税でおおむね合意した。税調はこの結果を4日の全体会合に諮った上、11日に予定している2010年度税制改正大綱取りまとめに向け詰めの議論に入る。
民主党はこれまで、子ども手当の財源として所得税の扶養控除と配偶者控除を廃止し、住民税の控除は維持する方針を示してきたことから、「公約の修正」(小川淳也総務政務官)に対する説明は必須。さらに、配偶者控除の廃止は先送りされる公算で、住民税の扶養控除廃止に伴う約6000億円を子ども手当の代替財源に充てた場合、地方負担の観点からも論議を呼びそうだ。
扶養控除のうち23〜69歳を対象とする分は、障害のために働けないといった個別事情に配慮し一部控除を維持。高校、大学生に対する特定扶養控除(16〜22歳)も継続する。所得税の扶養控除は11年1月から廃止する方針。
たばこ税については、「健康目的課税」への転換に向け、段階的に税率を引き上げて消費を抑制する方向。実施時期については「来年夏の参院選で国民の信を問うべきだ」との意見もあり、引き続き調整する。業界育成を主眼とするたばこ事業法の廃止を大綱に明記することも検討する。

以前の記事でも書いたけど,結局のところ所得税の扶養控除と配偶者控除を廃止にするなら,そのデータを使っている住民税の両控除は,維持することが技術的に難しくなる(逆は簡単だろうけど)。各地方自治体が(税務署を通じないで)自分でそのデータを取るのは社会保障番号のような名寄せに関する他の制度が整備されていない限り難しい。記事だと6000億円を「子ども手当の財源に充てた場合」と書いてあるけど,一義的には地方自治体において増税?をしていることになるわけで,その分を自治体から徴収するか,あるいはその分交付税など財政移転を減らすなりしないとそういうことにはならない。これまでの民主党政権の地方に対する姿勢を見てると,それを理由に自治体からお金をとったり交付税を減らしたりすることは難しいような気もするけど,フローの借金が50兆とかになる中で,「今年の交付税はこれで手を打って」というときの交渉材料になるのかもしれない。
一方で,控除がなくなると実質増税になる世帯が多いことを考えると,それをきちんと還元するべきだ(=マニフェストではその分の「増税」を約束していない)という主張も出てくると考えられる。それを考えると,個人的にはまあまとめて子ども手当として還元していくのが筋だと思うけれども,上述のようにそれも難しいと思われる。例えば住民税の増税分(6000億円)について子ども手当の追加的な財源にして,各自治体における増税部分を交付税から引く,ということになると,国の経済政策に地方が付き合うのは駄目だという話はまず出てくるし,実質的な問題として,交付団体と不交付団体の公平性の問題もあるかと思われる。つまり,不交付団体から増税分を徴収するような手段がちょっと難しくなってくるわけで(補助負担金ではたぶん無理かと)。子ども手当に地方負担が発生することを避けるためには,最終的に扶養控除廃止のメリットを受けた自治体が自分で考えて還元して〜という話になってしまいそうな悪寒。これはやや定額交付金の時に似てるw しかし,こういうプロファイルに応じた現金給付を地方政府が独自にやるというのは他の先進国ではちょっと考えにくい話だし(しかも名寄せの制度もなし),各自治体が独自にシステム組んで無駄にお金が出るのでそれだけはやめて欲しいところ(まあ現実的にも無理だと思うが)。実質増税ということで割りきって,納税者としてはそのお金の使い道を(いつもより)きちんと監視する,ということでコチラの方も割り切れると,全体としてはマルいような気がしますが…。