新書・文庫いくつか
7月に入ってからまたいくつか本を頂いておりました。まず細谷雄一先生から『安保論争』を。ありがとうございます。細谷先生が,集団的自衛権を認める安保法制について新聞や雑誌などの媒体にかかれてきた内容をまとめたものになっています。歴史的な観点,地政学的な観点から日本の安全保障環境について論じた上で,安保法制についての冷静な議論を呼びかける感じですね。細谷先生ご自身は,安保法制の必要性を主張するお立場で,ブログやフェイスブックなども含めてかなり広範に議論を呼びかける仕事もされています。こういった議論を読んでいると思うのは,政治学として一般化可能な議論を目指す一方で,どうしても個別性からは離れがたいところがあるわけで,両者の折り合いをどうつけるべきなんだろうかということです。最近の国際政治が,それぞれの分析対象の固有性を外してフォーマルセオリーや計量分析で議論する傾向があるのに対して,特に地政学なんかだと場所の固有性が全面に出てくるわけですが。政策担当者としては後者のほうがおそらくとっつきやすい話になるわけで,そのときに前者の研究者はどうすべきなんだろうかなあと。
- 作者: 細谷雄一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2016/07/05
- メディア: 新書
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- 作者: 筒井清忠
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2016/07/05
- メディア: 新書
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昭和史講義: 最新研究で見る戦争への道 (ちくま新書 1136)
- 作者: 筒井清忠
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/07/06
- メディア: 新書
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治安維持法 - なぜ政党政治は「悪法」を生んだか (中公新書)
- 作者: 中澤俊輔
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/06/22
- メディア: 新書
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さて,『ビル・クリントン』のほうは,非常に読みやすいもので楽しく読ませていただきました。90年代というのは私などは中学生から大学生という時期で,まあいろいろニュースは見てたと思いますが,詳しく知らなかったことを改めて学んだ感じです。モニカ・ルインスキーの話なんかは,まあ率直に申し上げてすごいざっくりとしか知らなかったことがよくわかりました(苦笑)。全体としての印象は,(叙述のスタイルによるところもあるのでしょうが)クリントン自身が何を考えていたのか,言い換えると彼の人柄みたいなものを明らかにするのって難しいんだろうなあ,と感じました。本の中に出てくる「三角測量」(相手との関係の中で自分の政策ポジションを決めようとする話)とか典型だと思いますが,彼自身の確固たるイデオロギーみたいなものは見えにくくて,それぞれの場面で役割をきちんとこなす,競争に勝利するためのチームを用意する,というのが1つの特徴なのかな,と。政党にイデオロギー的な差異が薄いとき,やはりそのようなある意味で実務的なリーダーというのは重要だし,日本でもそういうリーダーがいていいんじゃないかと。…まあ逆にだからこそ「分極化」が強調される中でヒラリー・クリントンが苦戦している,ということなのかもしれませんが。
ビル・クリントン - 停滞するアメリカをいかに建て直したか (中公新書)
- 作者: 西川賢
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/07/20
- メディア: 新書
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- 作者: 西川賢
- 出版社/メーカー: 千倉書房
- 発売日: 2015/11/30
- メディア: 単行本
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後藤田正晴と矢口洪一: 戦後を作った警察・司法官僚 (ちくま文庫)
- 作者: 御厨貴
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2016/07/06
- メディア: 文庫
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- 作者: 御厨貴
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2016/07/06
- メディア: 文庫
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