大臣と交付税

まじめにツッコミ入れるのはルール違反かもしれませんが,一応練習問題を解くつもりで。正しい理解であることは保障できませんが…。

9/30日経朝刊5面 安倍内閣,閣僚に聞く
地方交付税の問題点と見直し方針は?
横浜市は人口360万人で職員3万人,2005年度の交付税は300億円。大阪市は人口260万人で職員は5万人,交付税は600億円だ。なぜこんなことが起こるのか,いいかげんに使われているのではないかというのが一般の発想だ。透明でわかりやすく配分すべきだ」
「(交付税で)インセンティブ(動機付け)を与え,元気な地方を応援する。UターンやIターンで人口を増やした地域,企業を誘致した地域を応援する。地方が努力できる仕組みをつくりたい」

あれ?交付税っていつから奨励的補助金になったんだっけ?という基本的なツッコミは措いておきつつ。
実はこの二つは同じような問題ではないのかなぁ,というのが率直な感想。というのは,やはり基準財政収入額をどうすんの?っていうのがすっぽり抜けていると思うので。まあひとつめのコメントは,大阪市横浜市を比べると人口一人当たり職員数に大きく開きがあるのを問題視しているのだろう,というのはわかるのですが,2004年度横浜市基準財政需要額は573,957,310(千円)で,基準財政収入額は531,611,512(千円)。大阪市については,同じく552,698,697(千円)に481,041,761(千円)ということで。人口が100万人も多い横浜市と同等の基準財政需要額は怪しからん!という話はまあありえるのでしょうが,大阪市のほうがたぶん昼間人口は大きくなるだろうし,需要はある程度大きいのでは?と。さらに言うと,基準財政需要額を算定してるのは中央政府,大臣がいるところの総務省なわけだし。大きいといっても一地方自治体であるところの大阪市の影響力で,大阪市に有利なように変えることってできるのだろうか。もしその算定に問題がないのであれば,交付税が違ってくる原因はやはり基準財政収入額が低い,ということにあるのではないだろうか(たぶんより詳細にはこちら)。なので,そもそもの基準財政需要額の算定が「いいかげん」でないことを前提にすると,こういう風に大阪市を責めるのは若干お門違いではないかと…。「ただし」,こういう弁護は,大阪市が留保財源を「いいかげん」に使っていないということを保障するものではありませんが*1
二つ目のコメントについて言うと,まあ基本的に同じ話で,企業誘致して税収が増えたりすると,基準財政収入額が大きくなるからむしろ交付税減るのでは?企業誘致による増収分を全て留保財源に繰り入れる,みたいな結構すさまじい奨励策はできないでもないと考えられるものの,企業呼んだりして「活力」が増した結果として交付税が増えるってのはきついのではないかと…。企業呼んで活力が増えた分,基準財政需要額を増やすっていうのはブラックユーモアに近いような…。

*1:人件費はどっから金が出てるのかわからないので