第55回会合(2008/8/1)

内閣改造は予想よりも大幅。個人的にはMSN産経で報道されていた厚労大臣を副首相格にするという話に注目していたのだけれども,厚労大臣は留任で,特にそのような話は出てこなかった。まあ大臣経験者を副大臣に据えるという点が目新しいと言えばそうなのかもしれないが,このインパクトはまだちょっと評価が難しいのではないかと思われる。
さて,第55回の会合は中間報告のとりまとめ,ということで,前回委員から出された原案に対する意見の修文を踏まえて,再度微調整。47分という審議時間(というか動画の時間)はおそらく最短ではないかと。まあ長けりゃいいってもんじゃないのですが。
修正のポイントはおそらく二箇所。まずはところどころに見られていた「ガバナンス」や「民主的な統制」という言葉について検討すること。確かに原案を読んでいると,これらの言葉は非常によく似た意味で異同を意識せずに使われている感じはしていたところ。まあ言葉の問題といえばそれまでかもしれないけれども,ガバナンスという言葉は非常に多義的に使われるところがあって,どちらかというと「民主的な統制」の方がはっきりしていていいのかなぁ,と思っていたら,委員からは「統制」という言葉が不評らしく,結局「ガバナンス(統治)」ということで落ち着く方向。「ガバナンス」は何かイメージに訴えかける言葉ではあるものの,(この文脈において)その中身を確定させていくことがまあ今後の課題になるのだろうな,と。これに関連して,横尾委員から「分権化された総合事務局」が大きくなりすぎることへの懸念が表明され,原案作成に当たった事務局からは「徹底して」スリム化を図ることが再度強調される,というところ。
もうひとつは特定の箇所ではないけども,いわゆる「逆読み」を警戒する姿勢が特徴的かな,と。斉藤専門委員から,修文の過程で出先機関について「事務の集約化」という修正が入ったものの,スリム化などを前提とした上での財源確保ということになると,地方には余剰の人員が移されるものの財源だけは本来削減されるべき人員の算定に基づいて財源のみが圧縮されて移譲されてしまうのではないか,という警戒感が表明されたのが代表的なもの。この辺はいわゆる「官庁文学」とその取り扱いをめぐるやりとりなわけで,(もちろんオープンにされない部分の方が圧倒的に大きいんだろうけど)審議会における修文というものを考えるときに結構示唆的な部分ではないかなぁ,と。
修文については特に委員からの異議もなく諒承されていくことになったわけですが,あとは複数の委員から今後の審議のための問題提起が出されてきたのが特徴的かなぁ,と。具体的には,道州制というものが議論される中で今後の都道府県の位置づけをどのように考えるのか議論すべき(単に都道府県に権限移譲を進めて権限を強化するというだけでいいのか?),という問題提起(露木委員),ガバナンスが効かない組織という観点から地方自治体の行政委員会(大分県教育委員会を意識したもの)についての分析を進めるべきという問題提起(猪瀬委員),分権とは別に行われている社会保険庁改革が分権委における出先機関の審議に与える影響を考慮するべきという問題提起(井伊委員)がありました。いずれもこれから議論されていくべきところなのでしょうが,しかしこれらの問題提起をみると分権委が議論しなくてはいけないテーマの幅広さとひとつひとつのテーマのややこしさ(歴史的な経緯も含めて)が垣間見えてかなりしんどそうです。次の日程は調整中ということですが,前の増田大臣の発言だともうあと一年くらいをめどに計画の方に移っていくわけで,タイムテーブル的に大丈夫なのか!?,という気がしないでもないわけですが。