地方行財政検討会議第2回

昨日行われた地方行財政検討会議の資料が公開されたので確認を。1月20日に行われた第1回についてはyoutubeで内容の公開も行われているようですが,残念ながら地方分権改革推進委員会で行っていた動画チェック→観察記録については当面行わない予定。ただ,公表されたスケジュールでは今年の11月までに7回が予定されているのみで,そんなに負担でもないかも,と思ってみたりもしますが。また,検討会議の下におかれるという2つの分科会もそれぞれ月に1度ということでこれを併せても分権委のときよりは楽かもしれないので,引き続き検討してみます(って長すぎてそんなに読んでいる人が多いとは思えないところですが)。
検討会議第2回について,出された資料から少し内容を推測するに,「地方政府基本法」というのが問題になっているみたいですねぇ。第1回の議事要旨を見ると,これとは別に地域主権戦略会議の方で「地域主権推進基本法」を構想している模様で,両者は別だということになってるみたいです。西尾先生から基本法の位置づけについてのペーパーも出ていますが,そんなに基本法を出しまくると何が「基本」なのかわからなくなるような。そもそも地方自治法自体「基本法」みたいなもんなわけだし,この会議のスケジュールのおしりに来ているのは2011年3月の地方自治法改正だったりしてるし。
ただまあここで議論されることになると思われる「地方政府基本法」のようなものについては重要な問題だとは思われます。これは,このブログでもたまに出てきますが,アメリカの地方自治における「ホームルール」のように,地方自治体が自分のところでの「意思決定の仕方」を自分たち自身で決める,ということを志向するのではないかと思われます。その具体的な内容としてすぐに思いつくのは,多選禁止の問題でありますし,そもそも長と議会の二元代表制という構成自体どうなんだ,という話ですね。大統領制に近い二元代表制を止めて議会が長を選ぶ議会制のような形式にするとかいうのも(両者の権限配分をどうするかについてヴァリエーションはいろいろあると思いますが),最近少し議論されるようになってきたと思います。ただ,検討会議第1回の議事要旨でも指摘があるように,憲法の規定*1があることを考えると二元代表制を廃止すること自体はなかなか難しいところかと思いますが。
むしろ個人的には,今回の会議で都道府県議会議長会から出ていた資料にありましたが,地方レベルでもう少し自由な選挙が可能になるような公職選挙法の改正というのが第一歩ではないかと思うところです。この資料でも指摘されているように,人口移動や市町村合併によって都道府県における人口の分布が以前とはぜんぜん違う状況になっているのに微妙な中選挙区制が続いているということはありますし,場合によっては自治体の中で「一人一票」とは違うかたちで代表を選出するしくみを考えたっていいわけですし。ただ一方で,以前に期日前投票の不思議な制度について触れたように,ある程度中央と地方で統一した方が好ましそうなところもある,と。ここのところはたぶんそんなに憲法に引っかかるところではないと思いますし,一気に二元代表制の組み換えまで議論するよりも,(多選禁止の実施なんかもそういうところがあると思いますが)「自分たちの代表をどのように選ぶか」その選び方をまず考えてみるんだ,という取っかかりとしてもよいのではないか,と思うところです。

*1:第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。同条2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。