職場の同僚である野田昌吾先生に頂きました。政権交代が起きて9月から企画が立ち上がったそうですが,そこから出版というのはなかなか大変なスケジュールです(締切の設定とか)。勉強させて頂きたいと思います。
- 作者: 山口二郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/01/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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要するに,これまで時間の制限がきつくて,国会において法案を実質的に議論することができないために,省庁による法案作成と与党審査という国会における議論の前段階のところが重要になるかたちで立法過程の制度化が促されたと。イギリスのような「政治主導」はあくまでも個々の議員から内閣への権限委譲が重要であって,現在の民主党が言うような官僚制に対抗するようなものではないと。これらの点を考えると,まずは立法の時間を制限する制度を変更するとともに,(現在民主党が進めている方向とは異なって)各議員の政策的な活動を促すことが重要ではないか,そして各議員から内閣への権限委譲が起こって「政治主導」になるのではないか,という指摘になります。「政治主導」という言葉はいろいろ言われていますが,権力が集中する内閣に注目してその経路を論じた興味深いものだと思います。これから新しい制度化が進んでいくのだとすれば,国会における意思決定の仕方(端的には国会法になるわけですが)についても議論がされていくということになるのでしょう。
追記
箇所付けの問題とか,国家公務員法の改正がクローズアップされているわけですが,それこそ別に閣議決定の段階でガチガチに決めて修正を想定しないというかたちをとるよりは,国会審議を長々とやることだって理屈としてはおかしくない。それができないのは,時間が制約されている中で多くの法案が出され,会期が終わると審議未了で廃案になるという制度があるからなわけで,同じ批判でもそっちの方をさきに問題にしたって良いのに,と思ったりするところ。本数が多くてどうしようもなという問題もあるだろうけど,そこはまさにどうやって委員会制のメリットを使うかという議論になるんじゃないのかと。
[rakuten:book:13565143:detail]
- 作者: Gary W. Cox
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2005/09/08
- メディア: ペーパーバック
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- 作者: 増山幹高
- 出版社/メーカー: 木鐸社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
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*1:2005年にペーパーバックが出ていたのですね。