最近のいただきもの

中京大学の京俊介先生から,『著作権法改正の政治学』を頂きました。博士論文をずっと読ませていただいておりましたが,もう出版ですから素晴らしいものです。法と政治の交錯する分野,司法についての政治学的な分析というのは,日本の政治学ではなかなか行われてこなかったところで,今後の更なる研究のご発展を期待したいと思います。

著作権法改正の政治学―戦略的相互作用と政策帰結

著作権法改正の政治学―戦略的相互作用と政策帰結

同僚の勝田卓也先生から,『アメリカ南部の法と連邦最高裁』を頂きました。勝田先生はアメリカ法の専門家ですが,この本は法律の議論だけではなくて,アメリカ連邦最高裁をめぐる政治的・社会的文脈を踏まえた上での連邦最高裁の判断についての分析,まさに司法政治のような議論になっています。そういう点では京先生の本ともつながりがあるわけで,日本語での司法政治の本としても読まれるべきではないかと思います。
アメリカ南部の法と連邦最高裁 (大阪市立大学法学叢書)

アメリカ南部の法と連邦最高裁 (大阪市立大学法学叢書)

香川大学の堤英敬先生,立命館大学の森道哉先生から,『衆参ねじれ選挙の政治学』を頂きました。お二人は,前著の『政権交代選挙の政治学』,それから『民主党の組織と政策』に続いて香川県の選挙について分析されています。この流れで地方選挙の分析も進めて,香川県からの分析…というかたちでまとめられても面白いんじゃないかな,と思いますが。僕自身大阪の選挙の分析をやってるところもありますし,有名な所では実は愛媛県の選挙については研究の蓄積があったりしますし*1
衆参ねじれ選挙の政治学―政権交代下の2010年参院選

衆参ねじれ選挙の政治学―政権交代下の2010年参院選

その大阪に関しての研究として,立命館大学の村上弘先生から『大阪都構想Q&Aと資料』を頂きました。村上先生は大阪都構想について,反対の立場から積極的に発言をしてこられていて,『立命館法学』の論文はかなりの数参照されているようですし,僕自身もたびたび拝読させていただいています。改めて勉強させて頂きたいと思います。
大阪都構想Q&Aと資料―大阪・堺が無力な「分断都市」になる (自治総研ブックス)

大阪都構想Q&Aと資料―大阪・堺が無力な「分断都市」になる (自治総研ブックス)

最後に,東京大学御厨貴先生から『「戦後」が終わり,『災後』が始まる。』を頂きました。様々なメディアに発表されてきた時評的なものも含めて,この一年に関わるご論考をまとめておられますが,やはり復興構想会議に参加されていたご経験が随所に読み取れるところかと思います。復興構想会議は,本書でも議論されているように,政治学者が中心的に運営されてきた珍しい会議でもあり,その経験を学会的に共有する意味でも重要なものではないかと思います。
「戦後」が終わり、「災後」が始まる。

「戦後」が終わり、「災後」が始まる。

*1:北原鉄也[1991]『保守王国の政治』,創風社出版

保守王国の政治―愛媛政治批評

保守王国の政治―愛媛政治批評

藤原敏隆[2000]『保守王国の崩壊』,創風社出版
保守王国の崩壊―平成十年政変の

保守王国の崩壊―平成十年政変の"真実"

市川虎彦[2011]『保守優位県の都市政治』,晃洋書房