この一ヶ月は結局いわゆる"Life Event"ってやつで何だかんだと時間がなくてあまり研究も進まず。臨海副都心の話を書いてからは、依頼のあった雑文を一本書くことができたのみで、あとは継続調査を細々と、というくらいか。
で、時間が細切れがちだったので、あまりじっくり研究論文を読むこともできず、読んでいたのはやまけん氏からご教示いただいたルポが中心。
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1982/09
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 23回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
- 作者: 中川一徳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 単行本
- クリック: 32回
- この商品を含むブログ (43件) を見る
『メディアの支配者』は、いわずと知れた鹿内家の話。これは、鹿内信隆・鹿内家と現在の富士テレヴィジョン執行部との闘いである上に、戦後日本の人物史としても非常に面白かった。経団連の植村甲午朗やいわゆる「財界四天王」の遍歴や人となりを知らない人間にとっては、鹿内信隆をめぐるさまざまな挿話とともに描かれる人間関係や人物像は非常に参考になる。瀬島龍三を書いた『沈黙のファイル』、なべつねを書いた『渡邊恒雄 メディアと権力』(あ、両方とも魚住本)、毎日新聞の『自民党−転換期の権力』なんかと読むと、ある戦後史が立体的に展開されるような感じがして非常に面白い。
1950年代・60年代という、政治史・政治学の端境期についての蓄積について、僕自身があまり知らない中で、ルポ・ノンフィクションというかたちで読めるのは非常に面白い。この時期についてのアカデミックな研究も少し見てみたいな、なんて思ったり。
- 作者: 共同通信社社会部
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/07/28
- メディア: 文庫
- 購入: 24人 クリック: 672回
- この商品を含むブログ (59件) を見る
- 作者: 魚住昭,佐野眞一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/08/08
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 246回
- この商品を含むブログ (58件) を見る
- 作者: 毎日新聞政治部
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1986/02/25
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
とはいえ、現在の様子をビビッドに描き出しているルポの面白さ、というのもあるわけで。最近読んだ『官邸主導』はひとつの到達点かも。そのあとに出た政治学者の議論や報告はみんなこの本に規定されている気がする(というといいすぎか?)。自民党(特に)政調会と官邸という二つの権力<双頭の鷲>が、政策決定過程においてどのように影響力を及ぼしており、また相互に影響しあっているかを、非常に理論的に議論している。現在、「諮問会議がアリーナに」なり、与党主導で歳入・歳出一体改革が行われることになった、ということも『官邸主導』の議論の延長線上にあるのだろう。もちろん、与謝野馨というアクターに引き付けられ過ぎる、という問題はあるものの、彼が現実にそのように政策決定過程をひきつける力を持つ以上やむをえないのかもしれない。政策決定において高度に専門的な知識(政策/政策過程に関する)が必要とされている中では、ポスト小泉よりもポスト竹中、あるいはポスト与謝野のほうが重要になってくるのかもしれない、と思わせるものがあった。
- 作者: 清水真人
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
- クリック: 107回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
- 作者: 軽部謙介,西野智彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1999/10/27
- メディア: 単行本
- クリック: 22回
- この商品を含むブログ (10件) を見る