限界集落

大学で研究会?のあとに同僚yamakenさんとだべってた話がちょうど出てたので。

消滅寸前の集落、京都・綾部市が異例の「救済」条例
 65歳以上の住民が半数を超え、共同体としての存続が危ぶまれる「限界集落」について、京都府綾部(あやべ)市は、山間部の5集落の振興を目指す「水源の里条例」の制定を決めた。
 公共交通の確保や移住者向けの補助制度の新設などを行う。消滅か存続かの岐路にある集落を切り捨てず、支えて元気にすることで、市全体の活性化を目指す。限界集落に限った振興条例は異例で、この10年間に全国で5000集落が消える中、過疎に悩む自治体から注目を集めそうだ。
11月27日 読売新聞

条例化して補助制度を新設する,っていうのは結構思い切った手法に出たなぁ,というのが正直な感想。記事によれば,「最小集落は7人だけで、2集落は全員が65歳以上」とのことで。

「主力産業は年金」とさえ言われる。

…いやいやそれは。
限界集落の問題は,本当に重要なテーマで,誰でもいいからぜひ研究すべきだと思っているのですが(博論終わったらやりたいところなのですが),今のところ残念ながら自分自身なかなか手を出せていないし,そういう研究が学術誌(査読付)に載っているのも残念ながら見たことがない。*1もちろん,学術誌に限らなければあるんだろうし,そういうところにいい研究がある可能性はぜんぜん否定しないけれども今のところは手が出せない…。結局きちんと読んで印象に残っているのは,今日yamaken氏とも話をしていたこの論文のみかも。
松下高輝ほか[1993]「廃村へのソフトランディング--市町村枠を超えた集落移転による過疎地域の再編(自治大学校の政策課題研究-10-)」『自治研究』69(4): 98-121.
この研究はタイトルにもあるように,自治大学校に派遣された地方公務員の方々が政策課題研究として取り組んだ研究成果。随分前に読んだので細かい内容までは再現できないけれども(家のどっかにはあるんだろうけど),限界集落を維持するコストが厳しい集落ほどそれこそ限界的に高くなっていくなかで,ソフトランディングの方策として漸進的な集落移転を提案し,集落移転をとった場合のコストを分析したもの(だったと思う)。テーマの重要さ,内容の詰めはもちろん,本当に苦渋の選択を行わなくてはいけないという背景の中で,少しでもよい政策が何か,ということを考える姿勢が非常に印象に残ったいい論文だったと思う。でもなー。これ,既に10年以上前の論文なんだよな…。やっぱりこの後のことを少し調べていく必要はありそう。

*1:ちょっと調べてみた限りでは,農経での分析は結構あるらしい。