分権法

何か論文の追い込み(まで行ってないか…orz)なのに,研究関連のニュースが多い。とりあえず,今日,地方分権推進法案と道州制特区法案が衆議院を通過したらしいっす。まあ道州制特区は国から「北海道」(名指し!)への権限委譲を定めた法案ということで,しかも

道州制導入の先行的な取り組みとして、国から北海道へ(1)調理師養成施設の指定(2)鳥獣保護法に基づく危険猟法(麻酔薬の使用)の許可−など、計8項目の権限を移譲。
11月28日 時事通信

というくらいのもんなので,ほんとのところ実効性があるかどうかはちょっと疑わしいといわざるを得ないのではないかと思ったり思わなかったり。ていうかこれって効果の測定もかなり難しいんじゃないかなぁ,と思うんですけどね。効果の測定できない道州制ってどないなんでしょうか。
分権法案の方は,「国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保等の観点から」という表現が加わりましたが,これってどう解釈したらいいんですかね。この手の法案ではよくくっついてくる付帯決議もやっぱりあって,これはまあ要は地方の意見を聞いて,気合入れてやります,ということなんだと思うんですが。
しかしまあこのタイミングで「地方税財源の充実確保等」って言う言葉が入ったのはやや意外と言うか何と言うか。僕は官庁文学の読み手ではないので正確な理解かどうか知りませんが,森田[2006]によると,

「拡充」の場合は,今以上に財源を増やすことが含意されているが,「充実確保」の場合には,今の財源の規模を前提にしてそれを確保することを意味しており,財政負担はそれ以上増やす必要はないと解釈できる(114)*1

ということなので,まあ増やさないよ,ってことなんでしょうけど,今まで入ってなくて最後の最後に入れるっていう表現にしてはどうなんだろ,と思うのですが。まあもちろん,これを入れなければ逆に「めちゃくちゃ減らす」というのもありうるので,一応現状はキープしますよ,ってことなんでしょうけど。そういう含意であればこのタイミングで入れるのは参議院議員選挙を睨んでちょっと地方に気を遣おうか,という気分の顕れということになるんでしょうかねぇ。まあ「等」にすさまじい意味がこめられている可能性もあるのかもしれませんが。ただ,誰が入れろって言ったのかはやっぱり気になる。

会議の政治学 (慈学選書)

会議の政治学 (慈学選書)

*1:ちなみに,もちろん辞書みたいな本ではありません。たまたま載ってたのを覚えてただけで。