集約化

週末は行政学の研究会と日本財政学会のはしご。たまたま同じ日に同じ場所でやってくれたのは本当にありがたい。飲み会は行政学の方で行ったわけですが,珍しく(?)飲み会のときまで報告の細かいなかみの話をしてしまった…くどくてすみません。
財政学会で面白かったのは,北海道の中頓別町の医療問題を中心に扱ったセッション。国保病院の院長先生の報告をはじめ,他の報告者の先生方も中頓別町の話で報告されていて非常に問題意識がクリアなセッションだったと。また僕も一度討論者をお願いしたことがあるのですが,S先生の討論はクリアでとてもお手本になります。で,その討論を踏まえた議論で話題になっていたのが病院の集約化の話。集約化といってもそもそも周辺100kmとかいうレベルで病院の機能が議論されているわけだから,都市部でいうような「集約化」とはそもそも違う話ではないか,という気もする。ただしかしそれ以前に,それだけ人口密度が薄い状況では,病院を集約化する前にある程度人の方が集住しないとどうしようもないのではないか,と。議論の中で出てきたように病院間のネットワークを機能させることによって対応を目指すのは,それ自体重要だと思うけれども,病院という個別分野だけで政策対応するのはさすがに難しいのではないだろうか…。もちろん移動という選択はとても困難な選択だということはわかるつもりなのですが。
時事通信によると,国土交通省がまた限界集落関連の研究会を作るらしい。残す「価値」はきっとあるのだろうし,残したい気持ちのようなものも理解できるような気がする。でも残したあとのビジョンってあるのかなぁ,と。こういう有識者研究会は諮問された話に答申出すだけでほかの事を考える必要がない,というのかもしれないけど,なんだかなぁ。

◎「限界集落」の維持・再生策を検討へ=有識者研究会で3月に中間報告−国交省
国土交通省は、人口の減少や住民の高齢化に伴い道路の管理や田畑・山林の維持が難しくなり、集落の消滅が懸念されている「限界集落」の維持・再生に向けた検討に乗り出す。環境保全や国土維持をはじめ、過疎・中山間地域の果たしている役割を再検証した上で、農林業の再生や都市との交流人口拡大、公共交通機関の確保などについて議論する。有識者らでつくる研究会を11月にも設置するほか、過疎地域の生活実態に関するアンケートも実施しつつ、来年3月に中間報告をまとめる予定だ。
同省の調査によると、過疎地域の集落は約6万2000カ所あるが、北海道や東北、九州は高齢化が急速に進行。全国的に独り暮らしの高齢者も増えており、市町村合併で集落から役場までの距離が広がっている地域も多い。
また約400の集落が10年以内に消滅の恐れがあり、森林の荒廃や田畑の放棄、ごみの不法投棄などの問題も表面化しているという。
そこで、同省は有識者で構成する研究会を設置し、過疎地域の維持・再生策などを模索することにした。研究会では、過疎地域の現状や課題を検証した上で、(1)農林業など一次産業の再生可能性(2)都市住民のニーズを把握した農業と工業の連携(3)観光振興、都市住民との交流拡大―といった経済基盤の確立策を議論する。
また、▽地域内の集落機能の再配置・再編の可能性▽末端集落との公共交通機関の確保策▽ボランティアとの連携―といった施策の在り方も検討する考えだ。
同時に、全国20カ所で過疎集落の生活実態などについてアンケートを実施するほか、同省の職員を現地に派遣して住民との意見交換会も開く予定で、いずれも研究会の議論に反映させる見通しだ。
10月27日 時事通信・官庁速報