「削減」の方法論

時事通信・官庁速報の「アンテナ」でちょっと興味深い記事があった。

【アンテナ】 ★…「予算削る」プロセスの公共性(愛知県新城市
愛知県新城市は12月から、市のホームページ(HP)で2008年度予算要求状況の全容を公開した。予算編成状況を公表する自治体はあるが、同市の場合は、各部署が財政課に提出した要求書の内容を掲載。全事務事業が網羅され、A、B、Cの優先度判定まで付記されている。要求を削るプロセス自体に公共性があり、公表が必要という穂積亮次市長の思いに基づくものだ。
12月18日 時事通信・官庁速報

ちなみに,このページだそうで。これを見ると,市町村の予算要求ではホントに首長の予算提案権が強いんだなぁ,と思い知らされる。記事によると,議員はこんな風に思っているらしい。まあこのコメントをとった議員が代表的な議員なのかは知りませんが。

「事前審査になってはいけないから議員は編成途中で口は挟めないが、議会で審議する際、経過を知っていてもらった方がいい。批判が出たときにも、どこをどう組み替えるかといったことが話しやすい」と話す。

確かに地方自治法112条は,地方議会の権限として,議決案件のうち予算に関する事項は議案の提出ができないとしている。しかしこれは「事前審査」(というほどのものか別として)を排除するまでの規定なのだろうか。あと関係あるかなぁ,と思うのは149条で首長の事務として「予算を調整し,執行すること」とあるけれども,これも必ずしも議会(というか議員)の関与を排除するものでもないだろう。財務を規定する第9章にもぱっと見た感じ予算編成において議員の関与を排除する規定はないようにも読めるけど…。まあ確かに,中央政府における「族議員の介入」にイメージされるような個別の議員と執行機関の関係は好ましくないとは思うけれども,それにしても地方政府の二元代表の一翼を担うとされる地方議会が事前に何も知らされずに予算の審議をする,っていうのは結構酷い話ではないかと思ったり…。まあ市長の問題意識はその辺にあるようですが。

「国、都道府県、市町村と比べてみて予算の編成過程が一番不透明なのが市町村だ。国の場合は政党間の議論や省庁の議論、概算要求などメディアも追いかけ、予算編成は人の目にさらされている。県の場合でも、県側が議会の動きを気にして議員と折衝するなど編成過程はまだ見えやすい。市町村の場合はそうはいかない」と穂積市長。

市の担当者は「ここまで出したら、市民からあれこれ言われないか」と懸念する向きもあったそうですが,いまのところそういう動きはないということで。まああのページをキチンと見てツッコミを入れるというのは相当時間も必要だし,それなりの専門知識も必要ではないかとは思いますが…しかしそれってまさに議会がやることではないのかと思ったり。